ホンダの本質は「先進」
Takeo Fukui
90年代末から吹き荒れた自動車世界再編の嵐を乗り越え...

生き残り競争の中で「本質」を追う

――吉野前社長が就任した98年以降は、世界再編が大きく進みました。福井社長は、吉野さんの時とは、また異なる時代背景のもとで就任されたわけですが、現時点でどういう時代認識をされていて、それにホンダはどう対処していきますか。

福井 90年代末から自動車会社のM&A(企業の買収・合併)が吹き荒れて、一応それは乗り切ったのですが、再編された自動車会社同士の争いというのは、これから益々厳しくなります。と言うのは、全世界のマーケットでの需要と供給のバランスを見ると、供給力が依然として強くて生産過剰ですよね。だから、このままの状態で(各社が)存在し得ないと思います。マーケットの争奪戦があって、自然淘汰されていくのでしょう。もう一度M&Aが吹き荒れるのかはともかく、競争環境がさらに厳しくなる。そのなかで、ここまで来たホンダを、いかに「ホンダらしく」活き活きとしながら、存在価値を高めていくことが、非常に大きな課題だと思っています。

――再編後も生き残り競争は一段と激化するという認識ですね。

福井 ええ。そうしたなかで、われわれは本質を見失ってはいけないなと。もう一度、ホンダの本質を見直そうということです。短期的な台数や利益の目標とかでなく、お客様に焦点を当てて、すべてのオペレーションを見直しています。

インタビュアー:池原照雄(経済ジャーナリスト)

写真:長野浩之
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