【池原照雄の単眼複眼】三菱の黒字転換を確実にする北米の再生

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前年度比2割増に上方修正された北米販売

新再生計画の2年目に入り中間点を折り返した三菱自動車工業は、今期の必達目標だった最終損益の黒字転換が見えてきた。円安による増益効果という思わぬ援軍もあるが、益子修社長が「反転攻勢への足固めの年」と位置づけてきた北米事業の着実な改善が伏兵として貢献する。

グッドデザイン大賞など軽自動車『i』(アイ)への高い評価が、三菱の復活を印象づけている。国内販売は昨年の5月から1年半にわたって前年実績を上回り、総市場が低迷するなか、リコール隠しで地に堕ちたユーザーからの信頼も一歩一歩回復させている格好だ。

ただし、国内販売は登録車市場が余りにも悪く、通期計画は中間決算発表時に期初時点より約2万台下方修正している。これを補うように上方修正されたのは欧州と北米向け。北米向けは7000台の上乗せでしかないが、通期では19万台近くと前期より21%の増加を目標に定めた。

◆業績予想の上ブレ期待も

9月中間決算発表時には、地域セグメントによる通期営業利益予想も、北米のみが上方修正された。期初には110億円の赤字を見込んでいたのを50億円の黒字に修正したのだ。通期の連結営業利益見通しは430億円と、期初の予想を据え置いているので、北米の黒字転換は三菱の業績予想の上ブレも期待させる。

北米の営業黒字転換は「何とか達成したい」(益子社長)と慎重だが、2年前から取り組んできた「フリート販売やインセンティブの抑制など販売正常化」(同)が、ようやく実を結びつつある。益子社長は北米再建のため、今年1月には腹心の春成敬・元常務を北米三菱の社長兼CEOに送り込んでおり、この人事も奏功している。

◆ディーラーの損益も大幅に改善

三菱の北米事業はダイムラークライスラー傘下時代の2001−02年当時に、フリート販売の拡大や若年ユーザー向けローンの甘い与信などで販売を伸ばしたものの、その乱脈ぶりはすぐに破綻を招いた。

再生計画初年度の前期には、北米の減損処理を断行、「台数も追わずに我慢した」(同)ことが、今期の改善につながっているという。傘下の米国ディーラーの月次損益は、昨年末には7割強で赤字だったのが、今年7月には3分の2が黒字に転換した。

販売の足腰となる系列ディーラーの収益改善は、再生の基盤がしっかりしてきたことを示しており、それが三菱全体の再生にも着実に寄与することになろう。

《池原照雄》

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