JR西日本の公募増資で上場JR各社に警戒感…JR東日本、東海、九州も株価始値が軒並み下落

京阪神の基幹路線であるJR京都線・JR神戸線を走る225系の新快速。コロナ禍の2020年度における近畿圏の利用率は、2015年度の65%に留まっている。
  • 京阪神の基幹路線であるJR京都線・JR神戸線を走る225系の新快速。コロナ禍の2020年度における近畿圏の利用率は、2015年度の65%に留まっている。
  • 2015年度を100とした場合の、JR西日本における2020年度の利用推移。JR各社ともコロナ禍前の需要には戻らないと見ており、列車の減便や駅窓口の合理化など、事業の見直しを迫られている。

JR西日本は9月1日、公募による増資を行なうことを明らかにした。

同社は2018年度には営業収益1兆5293億円、営業利益1969億円という過去最高益を記録したものの、2019年度の第4四半期以降はコロナ禍を受け一転して業績が悪化。2020年度には2332億円もの当期純損失を出すに至っており、「社会インフラ企業としての使命を守る」「お客様、社員の安全を守る」「社員の雇用を守る」「サプライチェーンを守る」として、2020年10月には「JR西日本グループ中期経営計画2022」を見直している。

この見直しでは、間接部門のスリム化や駅における対面サービスの見直しなどを含む固定費の削減、モバイル決済や老朽化した特急形車両の置換え、北陸新幹線の敦賀延伸や大阪駅周辺再開発、広島駅ビルの開発などを視野に入れた、強固な財務基盤の確立などを打ち出しており、今回はそのための原資として、上場JRとしては初めて国内外への公募による新株式発行を行ない、最大2786億円を調達するとしている。

これを受けて、9月2日は東京証券取引所における上場JR4社の株式始値が下落。JR東日本が7420円→6901円(6908円)、JR東海が1万6150円→1万5515円(1万5450円)、JR西日本が6011円→5020円(5208円)、JR九州が2478円→2400円(2429円)となっている(いずれも9月1日終値→9月2日始値、カッコ内は9月2日の終値)。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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