【オートモーティブワールド2017】NECエンジニアリングの電子ビーム溶接は何が違うのか

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コーペルという発電所で大電流が流れる可動部分の部品。薄い銅板を何層にも、両端のメッキされた銅板の断面に溶接する際にも電子ビーム溶接が用いられる。
  • コーペルという発電所で大電流が流れる可動部分の部品。薄い銅板を何層にも、両端のメッキされた銅板の断面に溶接する際にも電子ビーム溶接が用いられる。
  • 細く深く伸びる電子ビーム溶接の様子がよくわかる。溶け合うから溶接であるが、これだけ深く根を張るような溶接の様子。強度においても当然優位なことが簡単にわかる。
  • NECエンジニアリング(オートモーティブワールド2017)
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  • そもそも接合と溶接は異なる。目の当たりにするとその品質の高さ、きれいな接合面がわかる。

NECエンジニアリングは、電子ビーム溶接を通して現代の高い要求水準の幅広いニーズにこたえようと、様々な事例の紹介を「オートモーティブワールド2017」の会場で行った。

科学技術の水準はとどまるところを知らない。そんな中、素材に求められる物性はよりシビアになり、より微細な加工を求められ、組み合わされる構造も限界を設けずあらゆる可能性を模索している。それらに求められる性能は極めて高度で、当然高い精度が要求される。そのようなオーダーに広く答えることができるのがNECエンジニアリングの電子ビーム溶接機シリーズだ。

まず目を引くのはブースに掲げられた「異種金属の溶接・接合」の文字。金属ごとに溶融温度は異なる。また時間をかけて加熱すれば、表面を傷めてしまう。もともと非常に高いエネルギー密度を誇る電子ビーム溶接は一瞬にして、溶接しようとする二種類の金属の溶接しようとする場所の温度を、溶融温度をはるかに超える温度にまで加熱することが可能なのだ。これにより、素材を傷つけることなく、瞬時に細く深いビードでの溶接を可能にし、異種金属、微細箇所の溶接を実現する。万が一電子ビーム溶接での溶接が困難な場合でも、従来よりはるかに幅広く接合を可能にする技術である。

電子ビーム溶接の効果としては次のようなことが挙げられると言う。まずコスト面において、加工が容易な部品ごとに分割して溶接し、適材適所で材料を用いることを可能にすることで作業の効率化、資材調達コストの最適化。高いエネルギー密度、真空中での溶接により、ゆがみの少ない高品質な加工を可能にし、酸化を抑え、活性金属であっても適用可能であるという、応用の幅の広さと高品位加工の両立。さらにSUS(ステンレス)やCu(銅)インコネル(ニッケル基の超合金)などの難溶接を高品質で仕上げることをも可能にするのだ。

適用領域も自動車関連に限らず、航空宇宙に至るまで幅広く、しかも試作、実験から多品種生産と様々なフェーズで活用できる技術でもある。レーザ溶接や従来型の電子ビーム溶接では困難だった微細溶接も、アーク溶接の約5000倍という高いエネルギー密度をも可能にする最新の電子ビーム溶接では可能だという。

「高性能で高精度を要求されるケースがますます増えている昨今、お役に立てる技術だと思う」と担当者は話す。

《中込健太郎》

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