スバル『BRZ』の開発責任者・乾保氏は、「スバルファンミーティング」(栃木県佐野市、3月27日)で、「BRZをどんどんつくりたいという気持ちはある。このモデルの開発責任者の立場として、末永くつくっていきたいと思っている」と語り、ファンらの質問にひとつひとつ答えた。
乾氏の冒頭の想いは、聞き手でモータージャーナリストの河口まなぶ氏の「今後もこういった異端なモデルは出しいきたいと?」という問いへの返答。続けてファンのひとりが「ホンダだったら、“タイプR”といったスポーツに振り切ったモデルもあるけど、BRZにもSTiが深くかかわるスポーツモデルの構想はある?」と聞くと、乾氏は「正直わからない」と前置きしながらこう答えた。
「tSっていうモデルがSTiから出ていて、これがベースモデルに比べてきわめて完成度が高い。だからこの領域を超えるというよりも、あげるとするならば、ベースをよりしっかり作っていくことと、tSを伸張させていくという可能性ある。BRZを正常進化させたいと常に思っている。このあたりは競争意識を持ちながら開発をすすめたい」
また、「いまBRZに積まれているミッションはアイシン製。もともとは富士重工で作るという噂があったけど…」という問いかけには、「ある断面からアイシンのミッションを使うことになった。その決断の前は、スバル製の新しいミッションをつくろうという話もあった。でも当時は、いちから作るよりも、アイシンのこれまで持ってるミッションを、より改良・熟成させる方向がいいと判断したという経緯がある」と伝えていた。
「トヨタとスバル。ともに会社だから、それぞれに目標があるなかで、なんとか作ろうという思いで開発に入った。こういうクルマっていま、出せる環境じゃない。世の中で台数がそんなに期待できないクルマ。この開発プロセスでいちばん大事だったのは、すべて新しい部品でつくりながら、いかに高いハードルを乗り越えられるかだった。そこは、トヨタもスバルも気持ちが一緒だった」