【池原照雄の単眼複眼】TNGAで変身した新型 プリウス の強靭な体躯

自動車 ニューモデル 新型車

トヨタ プリウス プロトタイプ
  • トヨタ プリウス プロトタイプ
  • トヨタ プリウス プロトタイプ
  • 新型 プリウス プロトタイプ(左)と現行 プリウス(右)
  • 新型プリウス プロトタイプ
  • TNGAによる新プラットフォームのカットモデル
  • 新型プリウスのボディー骨格
  • トヨタ プリウス 現行モデル
  • 新型プリウス開発責任者、製品企画本部の豊島浩二チーフエンジニア
◆失敗が許されない“モノづくりの土台”

トヨタ自動車は12月9日に4代目となる新型『プリウス』を発表する。1997年発売の初代から常に同社の先進性を担う看板モデルだったが、今回は新たな車両開発手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の初適用という使命も背負った。

トヨタは11月上旬に富士スピードウェイで、幅広いメディア関係者を対象に新型車プロトタイプの試乗会を開いたが、レスポンス執筆陣のレポートにも見られるよう、評価は総じて高い。TNGAは、これから少なくとも数十年にわたってトヨタのモノづくりの土台を成していくので、失敗は許されない。4代目プリウスでは、その成果も試される。

「これまでのプリウスは『圧倒的な燃費性能』などの強みがあったが、『走りの楽しさ』や『乗り心地』などの弱みもあった」。プリウスの開発責任者である製品企画本部の豊島浩二チーフエンジニアは、あえて歴代プリウスの「弱み」にも言及する。2009年5月に発売された現行の3代目モデルは同年から12年まで4年続けて国内販売のベストセラーとなるほどの支持を得ており、完成度は高い。それでも弱みを指摘するのは、4代目では更なる高みに挑んだというアピールでもある。


◆剛性を60%高めて弱点を克服

新型プリウスの試乗は、現行モデルと4代目に必ずセットで乗り、徹底比較するというセッティングだった。自らハンドルを握るだけでなく、トヨタの実験ドライバーの運転する車両の後席に乗って挙動安定性などを確認する機会も用意された。静粛性やコーナリング時の安定性、エンジンとモーターが滑らかに連携する中速域からのもたつきのない加速、さらにスムーズでしっかり感のあるブレーキング。3代目との違いは明瞭であり、筆者のような一般ドライバーにも実感できた。

こうした改善は全高を20mm低くするなどにより重心高を約20mm下げたことや、TNGAによる新開発プラットフォーム(車台)の剛性の向上に負うところが大きい。トヨタはTNGAによってねじり剛性を現行モデル比で30~65%引き上げる方針としてきたが、新型プリウスについては約60%と、最も高いレベルの改善を図っている。これらは車体骨格構造の見直しや、高張力鋼板(ハイテン材)の使用拡大、さらに独自ノウハウをもつLSW(レーザー・スクリュー溶接)の採用などによって実現した。


◆「未知の領域」での成長を担うトップバッター

軽くて強度の高いハイテン材および「ホットスタンプ」と呼ばれる加熱プレス材は、車体全体の重量比ベースで3代目の約15%から40%弱へと大幅に高めた。また、スポット溶接のピッチを短くできるLSWの採用によって溶接打点数は約30%も増やした。さらに新たな骨格部品も採用してガッチリした体躯にしているが、車体骨格の質量自体は3代目から横ばいに抑えたという。静粛性や走行安定性を高めたうえで、燃費もしっかり追求できるようにしたのだ。

もっとも、すべて目標の性能レベルに到達させるには「生みの苦しみ」もあった。新型プリウスの投入は当初、3代目の発売から丸6年が経過した今年5月あたりを目標としてきたようだが、結局、顧客には12月まで「待っていただくことになった」(豊島氏)のだ。TNGAでの新開発プラットフォームは、このプリウス用のミディアム級FF(前輪駆動)車が第1弾。引き続きFF車用のコンパクト級とラージ級、さらにFR(後輪駆動)車用についても開発を進めている。

大幅な部品共用化などによってTNGAでは「従来比20%以上の開発工数削減ができるようになる」(加藤光久副社長)という。2020年にはグローバルで販売するクルマのうち半分がTNGAに基づく開発車両となる見込みなので、性能、コスト両面での競争力を累積的に高めることが可能だ。そのトップバッターとなるプリウスは、グループ販売が年1000万台という「自動車メーカーとして未知の領域」(豊田章男社長)での持続的成長の成否を占うことにもなる。
《池原照雄》

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