【エンジンオイル講座 vol.4】車種別エンジンオイルの選び方…スポーツカー編

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スポーツカーにとって、オイル管理は簡単にできるコンディションコントロールだ。
  • スポーツカーにとって、オイル管理は簡単にできるコンディションコントロールだ。
  • マツダのロータリーエンジン
  • 三菱 ランサーエボリューション VIIIのターボエンジン

スポーツカーにとって、オイル管理は簡単にできるコンディションコントロールだ。一口にスポーツカーと言ってもそのタイプはさまざまだが、基本は取扱い説明書どおりの粘度と走行距離(または距離)で交換すればいい。

スポーツカーに搭載されるエンジンといっても、自然吸気もあれば、ターボもあれば、ロータリーもある。一般的にターボエンジンは早めのオイル交換が推奨されている。それは、エンジンオイルがターボチャージャーの冷却を兼ねているため、高熱にさらされることが多く劣化しやすいと言われるからだ。ただし、エンジンオイルはある程度の温度になることも大切。ガソリンが燃焼した際には水分が発生し、その水分がオイルに取り込まれていく。その水分をしっかり蒸発させるためには、エンジンオイルの温度はある程度高くなって、それを持続させないとならない。やたらと低ければいい、というわけではないということを覚えておいてほしい。

ロータリーエンジンについては、ターボ付きであればオイル管理上の注意点もターボエンジンと同じという考え方でいい。ロータリーエンジンならではの注意点としては、「オイルが減る」ということが挙げられる。ロータリーエンジンはエンジン内部にオイルを吹き付け、そのオイルが燃焼する構造のためオイルが減ることは正常な現象だ。エンジンの状態や乗り方などによっても異なるが、多い場合は1000kmの走行でオイルを1リットル消費することもある。ロータリーエンジンの場合は、オイル量が減ると警告灯が点灯するのでそれに合わせてオイルを補給すればいいが、自分のクルマのオイル消費量がわかったら、そのタイミングでオイルレベルゲージをチェックすることも大切だ。

自然吸気エンジンは高回転まで回ることでパワーを稼ぎ出していることが多い。このため、オイルも柔らかめで回転抵抗が少ないものが指定されていることも多い。オイルの粘度は「5W-40」などのSAE規格で表示される。柔らかければいいというわけではなく、そのエンジンにあったオイル(つまり指定されたもの)を使うことが大切だ。

スポーツカーのオイル管理で意外と無頓着になりがちなのがオイルの量だ。オイルの量はレベルゲージのロアレベルとアッパーレベルの間にオイル量があればいいが、このときに気をつけたいのはクルマが水平の状態でオイル量をチェックしないとならないということ。オイル交換をディーラーやショップで行っているのなら、交換時の量のチェックは問題ないだろうが、その後のオイル量のチェックも水平な場所で行わないと正確なオイル量を把握できない。

オイル量についてアッパーレベルギリギリという人は多いが、ロアレベルギリギリという人は少ない。人情としてどうしてもオイルを多めに入れている人が多い。とくにクルマを大切にするスポーツカーオーナーはこうした傾向が多い。ところがこれが意外な盲点。アッパーレベルならばいいがそれを超えて入れてしまうと、エンジンのなかで大きな抵抗となってしまうことがあり、最悪エンジンブローをまねくこともある。多く入っていることを警告するシステムはクルマには搭載されていないのがまさに盲点なのだ。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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