自動車ポータルサイト「GAZOO」が紹介する田舎ドライブスポット「ガズームラ」のひとつ、茨城県北部の里美で、トヨタ自動車が昨年リース販売を開始したプラグインハイブリッドカー『プリウスPHV』のマスコミ対抗エコラン大会が行われた。
チームレスポンスは、第1のタスクである約27kmあまりのオリエンテーリングコースを、エンジンを一度もかけずにバッテリーの電力のみで走破することに成功。エネルギー回収に細心の注意を払い、ゴール時のEV走行可能距離の残量は0.7km、10チーム中トップとなった。
第2のタスクは、スタート地点である里美ふれあい館を出発して標高800mの里美牧場「プラトーさとみ」内に設置されたウインドファーム(風力発電グリッド)までの約12km、標高差約600mを一気に駆け上がるという、エコランには厳しいコースだ。
電池残量は0.7km分のまま充電なしで里美ふれあい館を出発、緩い上り坂を数百m走ったところでエンジンがかかる。プリウスPHVはノーマルのプリウスと異なり、任意にバッテリーの電力のみで走れるEV走行スイッチが装備されておらず、EV走行が終了した後はハイブリッドモードに固定される。
国道349号線から里美牧場に向かう茨城県道245号線に入ると、にわかに勾配がきつくなる。勾配を登り切ったときの走行距離12km、標高差600mとすると、平均勾配は50パーミル(1000mごとに50m登る)。碓氷峠の旧道を駆け上るよりもきつい計算だ。
インパネ内の平均燃費計は最初、EV走行のみだったオリエンテーリングステージの貯金で「99.9km/リットル」を指していたが、急勾配にさしかかるあたりから急速に下がりはじめた。プリウスのインパネ内に、どのくらいのパワーを使っているかを示すハイブリッドシステムインジケーターを表示させ、レベルゲージがなるべく半分を超えないように走ったのだが、この判断は結果的には失敗であった。
平坦路の巡航時は徹底的にスロットルを絞ってエンジンを停めたほうが燃費がいいのだが、急勾配ではエンジンは常時作動するため、レベルゲージにこだわりすぎると車速が極端に落ち、エネルギー効率はかえって落ちてしまうのだ。
頂上に辿り着いたときの平均燃費は33.7kmで、第1タスク終了時に首位であった順位は、10メディア中3位に転落。とはいえ、急勾配を含むコースを40kmほど走ってガソリン消費量がわずか1リットルあまりというのは新鮮な数字だ。
プリウスPHV、価格が高ければ存在意義は薄れるが、ノーマルのプリウスとの価格差をごく小さくすることができれば、EV走行時の快適性の高さとあいまって、一般ユーザーにとっても楽しみなクルマになると言えそうだ。