『NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY』(2日、富士スピードウェイ)。スタンドイベントエリアのステージで、日産自動車車両開発主管兼チーフ・プロダクト・スペシャリストの水野和敏氏によるトークショーが行なわれた。
冒頭は、ステージ左手に設置された大型オーロラビジョンに、今年の東京モーターショーでも流された、ドイツ・ニュルブルクリンクサーキットを攻める車載映像が流されてスタート。開発テストドライバー鈴木利男氏のドライビングにより、7分38秒54を記録した映像である。
その後、水野氏が登場。ホワイトボードやプレゼン画面を使用した『GT-R』の開発に関する講義ともいえるトークショーが始まった。
水野氏は、今回の『GT-R』の開発に関して、「クルマをゼロから考えることから始めた」という。もう一度地球の力を見直そうということで、重力と慣性力と空力のすべてをタイヤに使ってグリップを上げることを狙ったのだそうだ。
特に、走れば走るほど増える慣性力と空力をうまく使おうと考え、タイヤの中心より下にクルマの重心を置き、床下の流れもダウンフォースに使うようにしたという。こうして突き詰めていった結果、自ずとブレーキやエンジンも決まってきて、『GT-R』ができあがったのだそうだ。
開発そのものは、95年に「R33」でルマンに挑戦したときに、Cカーとはなぜ大きく違うのか、というところからスタートしているという。日産は大胆なことをやらせてくれたと水野氏は語る。
また、「世界中にこれしかない、というものが必要」ということから、「マルチパフォーマンススーパーカー」となったとも。
そしてスーパーカーに関しては、ただ性能的に優れているだけでなく、作り手の顔が見える必要があり、スポーツカーが「製品」であるのに対し、スーパーカーは「作品」であるという。「購入者が感動してくれる、見た人がほしくなるのがスーパーカー」と水野氏は語る。それを日本だけでなく、世界中の人々に与えたかったのだそうだ。
最高の性能、最高の造り、最高のアフターケア(保証)の3拍子が揃ってマルチパフォーマンススーパーカーになるのであり、「GT-Rはオーナーの理想を実現したクルマ」と語った。
「これからが開発スタート。今まで我々だけでやってきたけど、お客さんに渡ってからまた新たに始まります。チームは解散せず、1年ごとにアメージングを全員で作っていきます。期待していて下さい」