---- 中国におけるe-CRBやテレマティクスは、『販売店のオペレーション支援』と、顧客サービスやテレマティクスで差をつける『総合的な商品力の
向上』の2要素に大きくフォーカスしていますね。日本のG-BOOK / G-Linkとの対比で見ますと、レクサスでの運用に近いものを感じました。
友山 商品力の向上という点では、確かに日本のレクサスと同じですね。例えば、ベンツとレクサスを比べたときに、ハードウェア単体の性能や装備では差別化が難しくなってきている。サービスとクルマが一体となり、価値を訴求するというスタンスは日本でも成功しています。
---- トヨタの中でも、G-Linkというテレマティクスをコアに『サービスとクルマの融合』を目指したレクサスの手法を成功した、と見ているわけですね。
友山 まさに表裏
一体ですね。テレマティクスを軸としたサービスが、レクサスの一部になっています。トヨタの内部調査や(外部の)調査会社が行った顧客満足度の調査でも、
日本のG-BOOK /
G-Linkは顧客満足度の高さでトップになっていまして、中でもレクサスオーナーの皆様の評価が高い。クルマ向けの総合サービスは必要なんだな、と実感
しました。
----- 日本の場合ですと、テレマティクスや関連サービスはどうしても「カーナビの延長線」として“クルマの一部”に見られるわけですけれど
も、レクサスというカテゴリーで見ると、まさに「総合サービス」ですよね。だから、カーナビに対するリテラシーや関心度に関わらず、顧客満足度が高いのか
な、と思います。
友山 そうかもし
れませんね。実はレクサスのカーナビ単体で見ますと、それほど顧客満足度は高くなかったのですよ。ところが、G-Linkとセットで見てもらうと、抜群に
高い評価を(オーナーに)していただけています。もちろん、カーナビ単体の満足度向上もしっかりやっていかなければならないわけですけれども、やはり
“サービスと一体になっている”ことが大切なんだと思います。
----- 中国市場で見ますと、現在はe-CRBが他国市場に先行する形で展開していますが、逆に日本で見るような「テレマティクス」の部分はこれからですね。
友山 予定では2008年末には第一号車を走らせる予定です。これは安心・安全というG-BOOK / G-Linkの優位性をベースにしたものになる予定で、中国のインフラでもきちんとした品質のものに仕上げます。
---- 今年は北京オリンピックなので、開催までに何台か走らせるという形になるかと思っていたのですが(笑)
友山 それはうち
の役員からも言われましたよ(笑)。しかし、我々はオリンピックのためにサービスを作っているわけではありませんからね。重要なのは、テレマティクスやe
-CRBは、中国における(トヨタの)ビジネスの『根幹』だということです。そう考えますと、無理にオリンピックにあわせる必要はないんじゃないかと。
---- テレマティクスのサービスメニューのうちで、中国で需要が高そうなものは何ですか。
友山 やはり安
心・安全、特にセキュリティですね。これは中国の富裕層に聞くと、圧倒的な支持があります。セキュリティに対する意識は日本より高いですよ。一方、渋滞情
報も確かにニーズはあるのですけれど、朝夕の渋滞時間帯だと北京市内などは全面的に渋滞しますからね。交通流が“逃げ道なし”の状況になるので、ここでの
ニーズ拡大や顧客満足度の向上は限界があると見ています。
《インタビュアー:神尾寿(通信・ITSジャーナリスト)》
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