[カーマルチメディア・インサイダー] トヨタ自動車 e-Toyota部前部長 友山茂樹氏インタビュー
「中国から変わる」
中国版G-BOOKの開発拠点、BMTSのオフィスにて
トヨタ自動車 e-TOYOTA部・友山 茂樹部長
人口13億人。国土面積960万平方キロメートル。BRICsと呼ばれる新興国の中で、いま最も“ホット”な・・・・
自動車ビジネスは変化する時期にある
---- トヨタのG-BOOKは、日本において2002年からスタートし、クルマを取り巻く総合サービスとして世代を重ねるごとに完成度を高めていきました。日本にいますと、どちらかというと「カーナビの延長」という“表側”の部分が目立つのですけれど、中国で見たe-CRBは、「カーライフの支援」といういわば“裏側”という部分が強く印象に残りました。そして、これらはトヨタのテレマティクスを織りなす“表裏一体”のものだと感じます。そこで中国でのテレマティクス展開について伺う前にまずお聞きしたいのですが、友山さんの考える理想像から見て、現在のG-BOOKというのは、具現化のどの段階にあるのでしょうか。

友山 なかなか難しい質問ですね(笑)。少し振り返って2002年に私が描いたビジョンを考えますと、今の(日本・中国あわせた)G-BOOKというのは完成度にして85%くらいだと言えます。しかし、2003年以降にも私の理想像は大きくなりまして、それを鑑みれば道半ば。完成度は半分くらいだと言えるでしょうね。

クルマの電子化やソフトウェア化はこれまでの予測を遙かに超えるペースで進んでいて、例えばプリウスは価格比で見れば5割程度が電子部品で4割がソフトウェアというような時代になっています。そのような変化・現実を直視しますと、「クルマの事業とは何だろうか」と真剣に考えなければならなくなってきています。

---- テレマティクスはこれからまだまだ進化する、と。

友山 実は自動車メーカーの本質であり、そして未来を考えますと、我々は「ドア to ドアの移動」という“サービス”を提供しているのでしょうね。お客様のライフスタイルを重視し、サービスを提供するという姿勢に(自動車メーカーは)なっていく。そう考えますと、G-BOOKの進化に終わりはないとも言えるのです。

---- テレマティクスは、これまではクルマの機能を強化するサービスとして見られてきたわけですが、中国での取り組みは違うと感じました。自動車メーカー、販売会社、ユーザーという3者の関係性を変えて、クルマを取り巻く構造を変えようとしている。クルマに内包されるサービスではなく、逆にクルマを取り巻くサービスとして、クルマの内部機能とも融合しようとしているという印象です。

友山 自動車ビジネスはクルマ単体や、ひとつの機能やサービスを売っていくだけでは成り立たなくなっている。e-TOYOTA部がやろうとしていることは、自動車ビジネスそのものを変革していく取り組みなんです。

なぜ、変革しなければならないか。答えは簡単で、お客様が変わっているからです。もっと踏み込んで言えば、お客様の生活が変わり、求める価値が変わってきている。自動車メーカーはその変化にしっかりと向き合っていかなければなりません。そのためのG-BOOKであり、i-CROPであり、そしてトヨタのクルマなんです。

《インタビュアー:神尾寿(通信・ITSジャーナリスト)》
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【中国取材特集】テレマティクスで完成する、新トヨタ販売方程式