――国内も目いっぱいの生産が続いています。
井巻 防府工場(山口県防府市)なんかは、120%くらいの稼動状況になっています。これを平均的に続けるのは無理です。国内(の能力増)も課題になります。
――最重要課題市場と位置づけている米国では、台数よりもブランド力ということで取り組んでいます。台数を抑制するというのは、以前のマツダでは考えられないことです。
井巻 もう昔のマツダではありませんから(笑)。米国には昨年の『CX-7』に続いて、今年は『CX-9』を投入します。北米でとらえるとCX-7だけで月4000台以上をキープしており、年間4万台の計画を上回るペースです。ディーラー網の専売店比率引き上げなど、全体として順調に推移しています。
――フォードモーターの経営再建におけるマツダの役割についてはどう考えていますか。
井巻 規模が違い過ぎますので、基本的には当社ができることは限定的です。そのうえで、われわれは非常に小回りが効いて効率は良いわけですから、そういう点をうまく活用して当社が中心になってクルマを開発するとか、生産領域でも応援していくとかはあります。とくに従来の協力関係と、そんなに大きく変わることはないと思っています。フォード自身も効率化する点はたくさんありますので、そこはアラン・ムラーリーCEOが、新しい目線で色々とやられるでしょう。
――02年の『アテンザ』から始まった新しい世代のモデル投入が06年までに一巡した形です。今年からの新モデルでは「zoom zoom」というブランドコンセプトに何か新しいエッセンスが加わるのでしょうか。
井巻 基本的に「zoom zoom」は変えません。その中で微妙に変化させていくことはありますが、そのベクトルは変わりません。
インタビュアー:池原照雄(経済ジャーナリスト)
写真:上尾雅英
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