――3カ年の中期計画を実行する一方で、井巻社長は常に「10年先のビジョンを持とう」とも、訴えています。
井巻 私の仕事の進め方は課長時代からそうですが、長期のビジョンをもって取り組むこと。ですから、10年先のマツダをどうするんだと。私から「こうだろう」とは社員に言わず、辛抱して提示するのを待ちます。すると、時間はかかるけど自分たちで考えます。いま、クロス・ファンクショナル・チーム(組織横断チーム)が10余りできていますが、それぞれが検討したテーマを整理していくと方向が見えてきます。そして、メンバーたちは次には自分たちの思いを実現していきたいということになります。
――3月にはマツダモメンタムの次の中期計画を発表しますが、基本的な位置づけはどのようになりますか。
井巻 詳細はもう少し待っていただくことになりますが、当社は為替の影響を受けやすいし、(業績が)一気に伸びるということではないという気はします。為替はヘッジすると、時には減益に出るということもありますから。
――モメンタムでは一定の基盤強化ができたわけですが、まだ足りないというところもありますか。
井巻 広島にはうまく行ったなと、すぐ安心する風土がありますから、意図的に足りないと強調するかもしれません(笑)。
――次期中期計画では、タイにフォードとの合弁新工場といった世界での能力増計画も盛り込まれそうですが。
井巻 報道が先行していますが、まだ何も決めていません。為替変動への対策はしなければならなりませんので、どこかに(新工場が)必要とは思っています。
インタビュアー:池原照雄(経済ジャーナリスト)
写真:上尾雅英
|