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自動車交通量は今後も伸びるか?
総走行距離の推移
伊東 最近、乗用車の総走行距離が頭打ちになってきています。これは、クルマを持ってはいるが、あまり走らなくなってきている、と解釈できます。

森口 90年代のトレンドからは、走行距離の増加は止まらないのでは、という懸念はありました。しかし、ようやく下がる兆しがしてきた、という感じがしますね。

伊東 日本はこれから人口減少に向かうので、保有台数や走行距離の総量は、あまり伸びないと思っています。

森口 たしかに人口減少で保有総数はそれほど増えないかもしれません。でも総走行距離はあまり減らない可能性もあります。

その要因の一つが人口密度です。地方では、鉄道やバス路線の廃止は珍しくありません。公共交通は、人が高密度に住んでいないと成り立ちにくい。人口密度が低い中で高齢化が進み、乗用車に頼る以外なくなってしまう。人口減少は、ますます自家用車依存型の国土・都市構造をもたらしてしまう可能性もあります。

二つめは、渋滞の減少です。一時期、交通渋滞は永久に無くならないのでは、とも思われましたが、ようやく道路整備も追いついてきたので、車の移動はスムーズになります。 渋滞解消は、燃費が良くなる反面、これまで鉄道を使ってきた人たちが車に移ってくる“逆モーダルシフト”もあるわけです。このように、人が減ると自動車交通量も減るという、単純な構造にはならない可能性があります。

伊東 総走行距離の統計を見ると、減っているように見えますが。

森口 総走行距離の統計は、まだ正確に取れていない面があります。ガソリン消費量は、石油流通の統計から、ある程度正確に把握できますが。CO2排出量の元の統計が、どこまで信頼できるかは、とても大きな問題です。関係官庁でも、統計を正確にするための検討が始まっているところです。
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