INTERVIEW
「L-finesse」はいまだ発展中
フミア) ちょっと待ってください。今のお話だと、「L-finesse」とは何か決まっていないのにコンセプトカーのデザインを始めたということですか。

平井) ええ。「先鋭−精妙の美」が決まっていただけです。他社がどうだとか、トレンドがどうだとかは考えず、「L-finess」とは何か、日本の価値観、日本の美しさとはなにか考えました。そして複雑だけどパッと見てシンプルなデザイン、時間がたつと「どこがどうとは言えないけど、これがレクサスだなあ」と。

フミア) 造形するだけでなく、その手法まで考えるのですね。仕事として魅力的ですよ。

平井) 面白いのはですね、最初はデザイナーも重役も「L-finesse」とは何かわかっていなかったのです。それがしまいには「L-finesse」度が足りないね、なんて言うようになってきたんですよ(笑)。これが「L-finesse」、と最初に決めずに始めてよかった。決めなかったから発展して進化したんだと思います。

「日本独創」は日本人から生まれるとは限りません。また「これが日本」という具体的な造形をしようとしているのでもありません。

フミア) 「L-finesse」をみんなで共有、共感できたらいい、という思いですね。では 東京モーターショー出展のコンセプトカー『LF-Sh』で「L-finesse」を具体的に説明してください。サイドビューで個性を主張しているようですが。

平井) さきほどお話ししたように、いまだ「L-finesse」は模索段階なのですが、LF-Shでは、まずシンプルに見せたい、ということがありました。

フミア) ただ本当に、数学的にシンプルな造形にしては、見る人はシンプルに感じないんですね。

平井) はい。“Simplicity is not simple”=簡潔であることは簡単ではない、と私はよく言うんです。

次に、デザインが変化する状況を共有したい、「変化」をデザインしたいと考えました。光線、見る角度、見る人の気持ちによってデザインの見え方、感じ方は変ります。

フミア) それをコントロールする、と。
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LF-Sh
LF-Sh
LF-Sh
LF-S(東京モーターショー03)
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