INTERVIEW
現地現物から日本発へ
フミア) まずレクサス世界展開はなぜ、どのように始まったのですか。

平井) 私はフランス、ニースのスタジオにも駐在経験がありまして、ブランドには「独創性が必要だ」と痛感していました。日本市場ではすでに40%のシェアを獲得してブランドの独創性は不要かもしれませんが、欧州では必要ですね。

以前、トヨタの開発部門はFF、FR、CVというように車種別のセンター制をとっており、それぞれの技術開発センターの中にデザイン部門は分かれていました。レクサスはFR中心のラインナップでしたが、一部はFFです。デザインによるブランド管理には不都合なので、3年ほど前にデザイン部門を分離し、トヨタと新展開のレクサスと、ブランドごとに再統合したのです。

それでデザイン哲学を決めることになったわけです。従来は市場ごとにいちばん適切な商品を開発していました。現地現物主義です。たとえばカリフォルニアのデザインセンターは、全社ブランドがどうこうより、北米向けに最適のデザインをしていたのです。これではブランディングはできません。

フミア) レクサスは北米市場向けのブランドから、全世界共通展開のブランドになるわけですね。

平井) そこで技術部門も合わせて、全トヨタのアイデンティティを「日本独創」、全世界に受け入れられる日本独創の価値として、デザイン部門ではこれを「Jファクター」と定めました。「Jファクター」はトヨタ自動車全体のデザイン哲学で、さらにトヨタブランドは「Vibrant Clarity」=バイブラント・クラリティ、レクサスブランドは「L-finesse」=エルフィネスとしました。
  画像をクリックすると拡大画像になります
LF-Sh(東京モーターショー05)
LF-Sh(東京モーターショー05)
LF-A(デトロイトモーターショー05)
LF-A(デトロイトモーターショー05)
次のページへ
Page: 2 of 6 
Page 1PROFILE
Page 1現地現物から日本発へ
Page 2調和のJファクターで勝ちにいくサッカー
Page 3ブランディング方法論にも日本独創を
Page 4「L-finesse」はいまだ発展中
Page 5パーティで気になるひと