――今回、新カーウイングスにあわせて純正カーナビも大きく進化しました。特にインターフェイスにこだわりを感じます。
小泉 そうですね。新カーウイングス用の純正カーナビでは、従来の上下左右方向のカーソルに加えて、ダイヤル式のインターフェイスを採用しました。これはメニューの選択に用いるのですが、この動きがカーソルの回転運動に対してリニアになるように工夫しました。他にも、階層化メニューにおいて、カーソルで選択した項目の下にあるコマンドをバルーン表示する機能など、直感的なわかりやすさや使いやすさに配慮しています。
野辺 様々な情報を表示するインフォメーションウィンドウも四隅を落として丸みを帯びさせています。こういう見た目の感触といいますか、気持ちよさは、デザイナーの仕事です。今回、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)全般において、デザイナーが大きく関わっています。
――それは専門職のデザイナーが、という事ですか。
野辺 HMI(ヒューマン・インターフェイス)全体に当社のデザイン本部が関わっています。(純正カーナビの)ハードウェアからソフトウェアに至るまで、テレマティクスとカーナビ機能が一体的に使えるようにデザインしてもらいました。
――なるほど。それでデザインの一体感があるわけですね。ところでカーナビの「ハードウェア」を見ますと、最近、市販カーナビではハードディスクの採用がトレンドです。しかし、日産は今回、ハードディスク採用を見送ってますが、その理由は何でしょうか。
小泉 自動車メーカーのカーナビに何が求められるかと考えたとき、まずは使いやすさや装着しやすさであり、道案内の道具としての機能です。今回はその部分に集中しています。ハードディスクを搭載しない分、価格は(ハードディスクを使う)他社製純正カーナビより抑えました。渋滞回避を用いた最速ルート案内など、道案内の道具としての性能は、ハードディスクの有無とあまり関係がありません。
――ハードディスク型カーナビのメリットのひとつは、音楽CDのリッピング(圧縮録音)です。これはかなりニーズがあると個人的に思うのですが、こういった車内エンタテイメントに関しては、かなり割り切っている印象を受けます。
小泉 (ハードディスクへの)音楽リッピングは、テレマティクスの要素があまりないですからね。純正カーナビとしてどうかという点では、『今回はカーウイングス連携で、ナビゲーションとしての価値を高めた』という形になっています。ただ、CD-Rに録音したMP3ファイルを再生する機能はありますから、パソコンをお使いの方なら音楽の長時間再生も可能になっています。
――DVD再生機能はいかがですか?
小泉 車種によって再生機能があります。純正カーナビとしては対応していますが、DVD再生機能のオプション設定をするかは、車種ごとの商品企画によります。たとえば、『ティーダ』ではDVD再生はできませんが、『フーガ』では可能です。
――現在、市販カーナビはオーディオ機能を取り込む形で、多機能化を進めていますが、今回の日産純正カーナビはそれとは方向性が違いますね。市販カーナビをあまり意識していない印象を受けるのですが、いかがでしょうか。
小泉 ひとつには、数年前ほど市販と純正の間に、カーナビとしての明確な機能差はなくなっているという事があります。むろん、先進的でハイエンドなお客様は様々な機能を求めますが、市場のマジョリティが求める部分ではかなり成熟してきている。その上で、自動車メーカーとして何をするかといえば、信頼性の向上であり、テレマティクスでカーナビの利便性や使いやすさを高めるといった方向性だと考えました。むろん、性能重視のお客様もいらっしゃいますので、そういった方にはハイエンドカーナビをディーラーオプションとして用意して、お選びいただけるようにしています。
――市販カーナビに直接対抗せず、かといって無視もせず、ラインオプションとディーラーオプションの使い分けでお客様のニーズに応えていく。
小泉 それでも(市販カーナビ)ブランド重視のお客様と、超ディスカウント商品が欲しいお客様の要望には応えきれていないかもしれませんが、幅広いニーズに対応したいと考えています。
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