――日産は1998年の第1世代の頃から、有人オペレーターサービスにこだわってきた。しかし、サービス提供の部分では試行錯誤もあったのではないかと思います。例えばサービス名称がコンパスリンクとコンパスリンク・ライトに分かれていますが、違いはほとんどなくなって形骸化している。

小泉 第2世代の時にいちどオペレーターサービスがオプション扱いになりました。そのためコンパスリンクとは別の名称が必要になったという事情があります。第3世代では「カーウイングスオペレーターサービス」に統一されます。車内の呼び出しボタンも「オペレーター」と表記を統一し、わかりやすくしました。

――第2世代カーウイングスは当初、コンテンツサービスのAutoDJが標準機能になり、オペレーターサービスはオプションになった。第三世代カーウイングスでは再びオペレーターサービスが標準機能になったわけですが、位置づけに変化というものがあったのでしょうか。

小泉 日産としてはAutoDJとオペレーターサービスのポジショニングは同列です。当時、日産だけがオペレーターサービスをやり続けていましたが、他社にはなかったので、ちょっと見えにくい部分はあったかもしれません。

――しかし、蓋を開けてみれば、テレマティクスの流れは「オペレーターサービス」に向かってきました。例えばトヨタもオペレーターサービスの標準機能化しますし、海外ではオペレーターサービスを主軸にするGMのオンスターが利用者を増やしています。

野辺 状況的には追い風だと感じています。例えば今年11月1日から道路交通法が改正されて、運転中の携帯電話利用の規制強化が行われますが、ここでハンズフリーフォンの利用ニーズが上がります。テレマティクスを使う目的でなくても、道交法対策でケータイをカーナビに接続すれば、あとはボタンひとつでオペレーターが呼び出せる状況になりますので、オペレーターサービスを使う下地はできやすくなります。

――ユーザーのヒアリングをしますと、オペレーターサービスは2回目以降は積極的に使ってくれる。しかし、最初の1回、はじめてオペレーターに電話をかけるのに躊躇してしまうという意見が見受けられます。最初に「ユーザーの背中を押す」事が重要だと思いますが、いかがでしょうか。

小泉 ここは地道にやっていく部分ですね。重要なのはディーラーでのご説明と、納車時のデモンストレーションだと考えています。我々としては、納車時にオペレーターサービスの実演をしてほしいと、CA(カーライフアドバイザー:店舗営業担当者)の皆さんにお願いしています。

あと第三世代では、納車時にお客様に直接お送りするカーウイングス紹介のパンフレットや説明ツールもわかりやすくする努力をしています。具体的には、私の父でも理解できる内容を目指しました(笑)

――第三世代カーウイングスでは渋滞予測情報を用いた「最速ルート案内」が、カーナビ側操作とオペレーターサービスの両方から利用できますが、オペレーターサービスから利用できる点はアピールされますか。

野辺 オペレーターサービスで渋滞予測情報が利用できるのは当社だけのアドバンテージなので、積極的にアピールします。

――オペレーターサービスで最速ルート案内が利用できるというのは、設定が楽という面はもちろんですが、「運転中のルート検索でも最速ルート検索ができる」というメリットがありますね。

野辺 自動車メーカーとしては運転中のご利用は推奨しづらい部分もあるのですが、一般論として、リモコンやタッチパネルでカーナビを操作するよりも、オペレーターサービスで(カーナビ)設定をしてもらう方がドライバーの負担は軽減されると言えるでしょう。

――自動車メーカーの建前としては確かに言いづらいかもしれませんね(苦笑) しかし、カーナビ利用の実態では運転中に周辺施設を探したり、ルート検索をしなければならない場合もあり、その時に高度なオペレーターサービスは「ベターな選択」として魅力的ですね。

日産のオペレーターサービスは第三世代で完成形を見たと思うのですが、今後の新サービスや新たなアプリケーションの予定はありますか。

小泉 11月1日から電話の接続サービスを行います。これはオペレーターに電話番号を調べさせて、そこに電話を繋ぐものです。もちろん、オペレーターに電話番号を告げれば、そこに電話をかけさせて繋ぐ事もできます。

――具体的にはどういうサービスになるのですか?

小泉 オペレーターに電話番号を調べたい施設や会社などの名前や住所を告げて、情報が見つかれば、お客様はカーナビのダウンロードボタンを押すことで電話番号を受信して、そこに電話をかける事ができます。

例えばオペレーターに「日産本社に行きたいんだけど」といって目的地情報を調べてもらい、さらに「電話もかけたい」といえば、カーナビに目的地設定がされて、電話もかけられます。

――その他の方向性として、トヨタのプレミアムコールのような「秘書サービス」はいかがでしょうか。

野辺 コンパスリンクでは秘書サービスがありましたが、第3世代カーウイングスのオペレーターサービスではサービスの予定はありません。カーウイングスは一部の高級車だけのサービスではなく、万人向けサービスを目指していますので、少し方向性が違います。


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