――最近ではイタリア・フィアットとのSUV共同開発合意など、GMグループのなかでスズキのパフォーマンスが益々高まっています。
津田 GMとの大枠は(1998年9月の)提携強化の時の内容です。まず、小型車でキチンと役割・責任を果たすこと。また日本・アジア地区で貢献すること。この2つに関しては色々なプログラクを着々と進めてきたわけです。年に何回もトップミーティングがありますし、「グローバル・ポートフォリオ」というGMグループの世界での商品戦略にわれわれも多くの提案を行っています。問題はそのプログラムを独自でやるか、協業でやるかですが、グループ企業がそれぞれの強みを生かして進めるため、さまざまなことができるようになりました。フィアットとの提携もお互いが欲しいところを補完し合う、それがぴたっと一致し、お互いにメリットがあるということでスタートするわけです。
――インドなどのように、もともとスズキ独自の海外展開もあるわけですが、これからもGMの世界戦略とうまくかみ合うでしょうか?
津田 最近はフィアットなどもあって欧州が目立っていますが、インド、中国、南米など全世界でお互いがメリットを享受するような形でやってきました。今後は韓国もそうでしょう。これからも、開発は単独あるいは共同で、また製品のブランドもスズキあるいはGMといった具合に色々なケースで(提携強化が)進められます。
――これまでは鈴木会長・スミス前会長というつながりがあったわけですが、津田さんとGMとの人的つながりはいかがですか?
津田 私は、GMとの提携強化を行う時点から技術協力面の責任者としてずっとやってきました。向こうの考え方もよく分かるし、トップや実務部門とのコミュニケーションもいい。ワゴナー会長もひんぱんに日本に来られますし、近くまたミーティングもあります。
――同じグループの富士重工業との協力強化は進むのでしょうか?
津田 大きな部分ではプラットフォームの共用化など理論的にはあり得ますが、モデルサイクルのズレもあるし、とくにブランドも重要なので、バッジだけ変えればいいということでもありません。竹中恭二社長とは頻繁にコミュニケーションをとっているし、お互い一歩入り込んで部品やコンポーネントの協力、それから鉄板や樹脂など材料を同じものにしようという点では意見が合っています。最後はお互いの会社のメリットがあるかどうかでしょう。
インタビュアー:池原照雄(経済ジャーナリスト)
写真:長野浩之
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