――鈴木会長より15歳、また戸田昌男・前社長より10歳若く、世代交代ということですが、これからのスズキの方向性は?
津田 大きく捉えて、経営そのものというのは鈴木修という会長が、長年の経験で製造業の基本というものをキチンとやってきたわけです。この辺は大きな問題はないと思います。ただ、個々の工場の合理化や色々なシステムで変えていかねばならないこともある。とくに、連結ベースでの海外の工場は急速に大きくなった。これまでは国内の工場の改善を優先してやってきたが、これからは、マルチ(インド)やマジャール(ハンガリー)、中国など海外の主力工場に目を向けなければならない。そこで、私が就任した4月1日付で「海外生産事業支援室」も新設しました。
――モノづくり優先ですからね。生産現場以外の点ではいかがでしょう。
津田 もう一方にある企画、デザイン、開発ではこれまでと変わって行かなければならない。「軽自動車のスズキ」と言えば、誰でもご存知でしょう。しかし、「小型車のスズキ」というと、「うん、あったかも知れないね」という感じです。そのなかでも『エスクード』とかの独特なエリアでは、それなりにブランド力もある。しかしいま、一番強くしなければならないのは小型車の乗用系です。
――小型車も価格競争力はあると思うのですが。
津田 ええ。これまで何もしてこなかったわけでなく、いいモノを安くつくるという発想で企画、設計してきました。モノは良いのですけど、お客様に訴えるものが分かりづらかったのかなぁと、鈴木会長も、戸田前社長も私も反省しています。お客様が満足するクルマづくりが原点なのに、多分に造り手のエゴになってしまいます。反省すれば直せばいいので、それは私がやります。したがって経営の基本というモノづくりの考え方は全く変わらない。微調整というのでしょうか、日本重視から世界重視にモノづくりを変えていく。一方の商品は、お客様が何を求めているのか、われわれは何を訴えていくか、そこをもっと重視していきたいですね。
インタビュアー:池原照雄(経済ジャーナリスト)
写真:長野浩之
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