――G-BOOKのキラーコンテンツは何だと思われますか。
豊田 セーフティ・アンド・セキュリティーだと思います。自動車の安全というと、いままでは事故を起こさないように視界を広くするとか、衝突したときに、できるだけぶつかり具合を柔らかくして、ケガをなるべく軽くするようにするなどでした。G-BOOKの場合は、例えば、脱輪したとき、そのお客様が今まで1回もボンネットを開けたことがないと、「どうしよう?」と困り果ててしまう。そういう場合、G-BOOKの「ロードアシスト24」というボタンを押すと、オペレーターにつながります。普通ですと、オペレーターから「お客様の氏名、ID番号、現在地をお知らせください」と始まるところですが、G-BOOKは“G-BOOKセンター”で誰からの連絡からなのかがわかるし、GPS機能によって、そのクルマがどこにいるのかもわかるので、オペレーターからは「豊田さんどうしました?」と、ボタンを押した瞬間にオペレーターが聞いてきます。「脱輪です」と言うと、オペレーターは「わかりました。JAFを急行させます」と、現在地にJAFのサービスカーを手配してくれます。G-BOOKはこういう形で、セーフティ・アンド・セキュリティーに貢献し、本当に困ったお客様に頼りになる存在になれればいい、と思っています。
――G-BOOKはそれ自体がサービスというよりも、いろいろなコンテンツを受け入れる場だと考えた方がいいと思いますが、いろいろと面白いものがあるそうですね。
豊田 車載端末は一見すると、カーナビなので、面白さを言葉で伝えるのはなかなか難しいのですが、例えば『恐怖のホラーチャンネル』というコンテンツがあります。幽霊が出ると噂されているトンネルなど怖い場所を見てみたいと思ったとき、「現在地の近くにはこのようなところがあります」というリストとその場所までの地図が出てきます。スタート時に用意するのは約50種類のサービスおよびコンテンツですが、今後はもっとたくさんのコンテンツホルダーに参加していただいて、どんどん増やしていきたいと思っています。
――トヨタはG-BOOKで“つながる”ことが、走る・止まる・曲がるという自動車のこれまでの基本機能に新たに加わるとしていますが、クルマは今後どのように変わっていくと思いますか。
豊田 ものすごく遠い将来の話をさせてもらえば、G-BOOKのようにメーカーとお客様が双方向でつながることで、クルマが頼りになる存在になっていくでしょう。愛車に対して「よくがんばったなぁ」とか「しっかりしてくれよ」とか声をかける人は多いと思います。クルマはつながるという機能によって、どんどん人格化というか、個性的なものに進化していくのではないでしょうか。とはいえ、まだまだクルマは単なる足、移動手段に過ぎない、と思われる人もいると思いますが。
――ハード面とソフト面で個性化が進む?
豊田 ハードは標準装備しつつ、ソフト面でオリジナリティ、カスタマイズ性能を出していくという流れになると思います。携帯電話などは、外形は同じでも、使い勝手は人によって大きく違いますよね。携帯電話を情報端末として使っている人もいれば、通話のみ、あるいは着信を待っているだけの人もいます。要は、それぞれのお客様が便利だと思う使い方ができるポテンシャルをもたせることが大事なのでしょうね。
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