マクラーレンの新スーパーカー 初公開…最高速320km/hプラス

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マクラーレンの新スーパーカー 初公開…最高速320km/hプラス
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英国マクラーレンオートモーティブは8日、新型車マクラーレン『MP4‐12C』を発表した。3.8リットルV8ツインターボ(600ps、61.2kgm)を軽量なカーボン構造ボディに搭載。ライバルはフェラーリ『458イタリア』だ。

マクラーレンオートモーティブは、F1のマクラーレンレーシングと同じグループ会社。1993年に発表したマクラーレン『F1』で、スーパーカー市場へ参入した。同車はBMW製6.1リットルV12(627ps)をミッドシップに搭載。カーボンやアルミをふんだんに使用したボディは、わずか1140kgという軽さで、最高速は391km/hと、まさに「ロードゴーイングF1」と呼ぶにふさわしい性能を誇った。

マクラーレンF1は1998年に生産を終了するが、今度は2003年、ダイムラーとのジョイントにより、メルセデスベンツ『SLRマクラーレン』を発表。再びスーパーカーメーカーとして、脚光を浴びる。そのSLRマクラーレンも、2009年1月発表の限定車、「スターリングモス」をもって、生産を終えることが決定ずみだ。

新型マクラーレンMP4-12Cは、F1参戦から得たノウハウを投入して開発したスーパーカー。車名の「MP4」とは1981年からマクラーレンのF1マシンが使用しているのと同じネーミング。「12」とはV型12気筒並みのパフォーマンス、「C」はカーボンを意味する。

MP4-12Cの注目すべき技術が、「カーボンモノセル」だ。これは、市販車としては世界初のワンピース構造のカーボンファイバーセルである。キャビンを取り囲む強固なカーボンセルは、F1マシンと同じ考え方。単体重量はわずか80kgに抑えられる。

ミッドシップに置かれるエンジンは、独自開発の「M838T型」3.8リットルV8ツインターボ。最大出力は600psを発生し、エンジン回転数は8500rpmまで許容する。最大トルクは61.2kgmで、最大トルクの80%は2000rpmから下の領域で生み出される。

このエンジンは、ドライサンプ方式とフラットプレーンクランクシャフトの採用により、車体中央の低位置へのマウントを可能にした。トランスミッションは「シームレスシフト」と呼ばれる7速2ペダルMTのデュアルクラッチタイプで、パドルシフトが組み込まれる。

マクラーレンはMP4-12Cの動力性能を公表していないが、0-100km/h加速は3秒台前半、最高速は320km/hオーバーといわれる。フェラーリ458イタリアの0-100km/h加速3.4秒、最高速325km/hと同等ということになる。

環境性能にも配慮しており、マクラーレンは「同クラスのスーパーカーで、最もCO2排出量が少ない」と説明。フェラーリ458イタリアのCO2排出量が320g/kmだから、MP4-12Cは300g/km程度と見られている。

足回りには「プロアクティブシャシーコントロール」技術を導入。ハンドリングと乗り心地の両立が図られた。サスペンションはダブルウイッシュボーン。インパネの「アクティブダイナミクスパネル」のスイッチ操作により、ノーマル、スポーツ、ハイパフォーマンスの3モードが切り替えられる。

SLRマクラーレンで実用化した「エアブレーキ」や「ブレーキステア」といったハイテクも装備。アルミ製ブレーキの採用でマイナス8kgをはじめ、軽量化も推進された。オプションでカーボンセラミックを用意。タイヤはフロント19インチ、リア20インチのピレリを履く。

エクステリアは、スーパーカーにふさわしいフォルム。エアロダイナミクスは徹底追求されており、高速走行時には強大なダウンフォースを獲得する。ヘッドライトはバイキセノンタイプで、テールランプにはLEDが使用された。インテリアはマクラーレンF1を現代流にアレンジしたような、独自の世界観を表現。安全面では、ESP、ABS、ASR、ヒルホールドなどが標準装備される。

MP4-12Cは、2011年から年間1000台規模で生産を開始し、欧州、米国、中東などで販売。価格は公表されていないが、12万5000 - 17万5000ポンド(約1900 ‐ 2670万円)程度になるという。

しかし、マクラーレンは立ち止まらない。マクラーレングループのロン・デニス会長は、「今こそ、マクラーレンがフルラインスポーツカーメーカーになる時だ」と力強く宣言。今後はMP4-12Cの下に位置するポルシェ『911』クラス、MP4-12Cの上に位置するランボルギーニ『ムルシエラゴ』クラスのスーパーカーを開発する予定だ。MP4-12Cは、マクラーレンの壮大な計画の序章に過ぎない。

《森脇稔》

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