【神尾寿のアンプラグド特別編】インテル、モバイル端末向けプロセッサ発表 ナビも取り込まれる!?

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コンセプトは「フルインターネットを身につけて持ち運べるもの」

4月2日、インテルがモバイル情報端末向けの新たな省電力プロセッサ『Atom』と関連製品について詳細を発表した。

Atomは、インテルが提唱するモバイルインターネット端末(MID:Mobile Internet Device)のコアとなるプロセッサであり、低消費電力・高性能なのが特徴だ。さらに現在、インテルのPC向け主力プロセッサである『Core 2 Duo』シリーズと高い互換性を持ち、主にインターネットで流通するPC向けの様々なソフトウェアやサービス、プラグインなどが流用しやすいというメリットを持つ。

インテルではAtomのセグメントとMIDのコンセプトについて、「フルインターネット(のサービス)を身につけて持ち運べるもの」(インテル 代表取締役共同社長の吉田和正氏)と定義している。

Atomを搭載したMIDは、今夏から日本市場に投入される予定だ。

◆ネットサービスの稼働に十分な“高性能”

モバイル機器向けの低消費電力プロセッサは多くのバリエーションがあり、進化してきている。だが、それらは主に「携帯電話」の利用を想定して作られており、性能やPCとの互換性よりもバッテリー持続時間の延長が最優先課題として開発されてきた。

一方、インテルのAtomは充分な低消費電力性能を持ちつつも、PC向けのネットサービスがそのまま使える「パフォーマンス」が重視されている。消費電力が3W以下のプロセッサとしては世界最速の1.86GHzで動作し、LinuxやWindows Vistaにも対応。高速なモバイル通信サービスと組み合わせれば、高度なWebサービスや動画サービスの利用も十分に可能だという。

記者会見では、Linuxで開発された試作段階のMIDで「Googleマップ」や「フォトビューワー」の利用、「ネットストリーミングによる動画再生」のデモンストレーションなどが行われたが、どれもPC並みの反応策度で“サクサク”と動いた。特にGoogleマップの地図スクロールはスムーズであり、カーナビ専用機の地図よりも動きが滑らかではないかと感じたほどだ。今回、実際のMID製品は発表されなかったため、バッテリー環境でどうなるかは不分明だが、性能面にはかなり期待できそうだ。

なお、インテルはMIDとは別に、マイクロソフトの提唱する「UMPC(Ultra-Mobile PC)」にも注力している。このUMPCとMIDの違いについてインテルは、UMPCがMicrosoft OfficeなどPCアプリケーションの利用を重視しているのに対して、「MIDは同じモバイル環境でもネットワークサービスに適応するためのもので、対象市場は異なる」(インテル技術部長の土岐英秋氏)としている。

また、UMPCはWindows系OSの利用が前提であるのに対して、MIDはWindowsだけでなく、Linuxなど複数のOSが選択可能。コンシューマー向けの様々なモバイルネット端末からエンタープライズ市場向けの業務支援用モバイル機器まで想定しており、ターゲット市場の裾野は広い。

◆Atomにキャリアも熱い視線。MIDに“追い風”

Atomの発表には、日本の携帯・PHSキャリアも熱い視線を注いでいる。記者会見には、携帯電話最大手のNTTドコモ、先ごろWiMAXの事業免許を取得したUQコミュニケーションズ、PHSキャリアのウィルコムから幹部が駆けつけ、Atomおよび新ジャンルの製品となるMIDへの期待感を述べた。

中でも祝辞に熱が入ったのがウィルコムであり、同社代表取締役社長の喜久川政樹氏は、スマートフォンの『W-ZERO3』発売以降、モバイル向けネットサービスの拡大に熱心だったことをアピール。Atom対応のMIDについて「詳細は近日中、本当に近々に発表する」(喜久川氏)と、製品発表が近いことを強調した。

一方、ドコモは最新の3G通信インフラ「HSDPA」のエリア整備が急ピッチで進んでいることに言及。今春からは最大7.2Mbpsに高速化し、今後は“ケータイ以外”への定額制適用に積極的に乗り出す方針を述べた。

◆車載MID端末も参考出展。PNDに続く“台風の目”か?

また、自動車業界として注目なのは、MIDが“車載向けモバイルネット端末”も想定していることだろう。

記者会見ではクラリオンが開発コードネーム「MiND (Mobile Internet Navigation Device)」という車載向けコンセプトを参考出展。プロセッサにAtomを搭載し、OSはLinuxベース、Wi-Fi(無線LAN)やBluetooth、WiMAX、3Gなど複数の通信方式に対応する見込みだ。

MIDが主なターゲットにするのは、スマートフォンやUMPCに近い「ポケットに入るモバイル市場」であるが、低消費電力・高性能や互換性の高さ、ネットとの親和性を鑑みれば、このプラットフォームの派生系として「クルマ向けモバイルネット端末」が登場してくるのは、むしろ自然な流れだ。

クルマでは電源供給が受けられて、MIDに搭載されるAtomの“高性能”の部分が引き出せる。しかもMIDはネットサービスの利用が前提であり、携帯・PHSキャリアの後押しもある。通信料が定額で、ネットに常時接続する車載向けMIDというのは荒唐無稽な話ではない。

すでにGoogleなど主要なネットサービス企業は、カーナビゲーションも含めた「クルマ向けネットサービス」の世界に食指を動かしており、研究開発が進んでいる。今後、車載向けMIDが数多く登場し、これらクルマ向けネットサービスと連携していけば、従来型のカーナビやPNDに続く、“第3の勢力”になるシナリオは充分に考えられるだろう。

モバイル市場を幅広く狙うAtomとMID。あらゆる存在が“ネットに繋がる”のが必然となる中で、自動車業界から見ても無視できないものになりそうだ。今後の動向に注目したい。

《神尾寿》

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