三菱『ランサーエボリューションX』の目玉でもあるツインクラッチSSTは、文字通り偶数ギアと奇数ギアを受け持つふたつのクラッチが、交互に切り替わりながら素早いシフトチェンジを可能としているトランスミッション。機構的にはVWグループが採用しているDSGと共通のもので、供給元も同じゲトラグ社となっている。
ランサーエボリューションXのツインクラッチSSTの開発を行なった、商品開発統括部門の一樂浩さんは「ツインクラッチSSTの基本的なメカニズムはVWなどのDSGと共通ですが、ランエボの高トルクに対応するためにクラッチの配列などは三菱独自の変更が加えられています」
「また、ツインクラッチSSTには“ノーマル”“スポーツ”“スーパースポーツ”と3種類のモードが用意され、それぞれのモードで変速タイミングが変化します。これもランエボ独自の機構といえるでしょう」とコメント。
実際にツインクラッチSSTが搭載されたランエボXに乗ってみると、スムーズなシフトワークと3つのモードの走りの違いに驚かされる。ノーマルモードでは通常のAT並みのスムーズさを持っており、知らされなければ特殊な構造のトランスミッションということに気が付かない人もいるだろう。
ただし、シフトレバーやシフトパドルを操作してマニュアルモードでシフトチェンジを行なった際には、ノーマルモードで走っていても、その素早さに驚かされる。そしてスポーツモードを選んだときには、まるでレーシングカーのように瞬時にシフトチェンジが完了しているのだ。そのうえで、通常のATと同じようにフルオートのモードも用意されているのも魅力だ。
GSRのツインクラッチSSTと5速MTの価格差は約25万円あるが、この差なら絶対にツインクラッチSSTを選びたくなってしまう。