1995年から始まったトーヨータイヤの専用タイヤコンセプト。重量があって重心が高いミニバンには、その特性にあったタイヤを提供しようと「トランパス」が登場した。あれから12年経ってミニバン専用タイヤのトランパスも4代目を数え、『MP4』をリリースするまでになった。
トーヨー・トランパスMP4は前モデルMP3の進化版であるが、トレッドパターンはもちろん構造もトレッドコンパウンドも大きく変わった。トレッドパターンは標準タイプ、偏平用、軽&コンパクトカー用とデザインが微妙に違う3種類が用意されている。ボディタイプによる最適デザインを目指している。
トレッドパターンは太い4本のストレートグルーブが基本だ。これで水はけをよくし、耐ハイドロプレーン性能を確保している。
タイヤのアウト側とイン側を明確にした左右非対称パターンを採用。アウト側のブロックは大きく、荷重が掛かったときにも負けない強さを持っている。イン側は乗り心地とウエット性能を確保するために小さいブロックのつくり。このイン側には特許取得済みの3Dマルチサイプが組み込まれている。これはイン側サイプの振幅を小さくすることでブロックの変形を抑え、グリップの向上を狙っているのだ。これらによりミニバンに多い片減りや段差摩耗などの偏摩耗を防ぐ効果に結びつけている。
また、ブロックの内側を見ると、静粛性向上のためにサイレントウォールが設けられている。これはグルーブ(溝)の側面に波状の細かい凹凸をつけて空気の流れを変えてヒューというパターンノイズを低減しているのだ。
さらにおもしろいのは、特許出願中のNEWトリプルトレッド構造だ。これはベースコンパウンドの上にアウト側とイン側の2種類のコンパウンドが乗るというレイアウトを持つもので、ベースコンパウンドは低燃費のために転がり抵抗を小さくできるゴムを使用。そしてアウト側のコンパウンドはNEWマルチハードコンパウンドと呼ぶちょっと硬めのコンパウンド。イン側はNEWソフトコンパウンドと呼ぶちょっとソフトなコンパウンドを用いている。
両側とも転がり抵抗の低減とウエット性能、摩耗低減のためにシリカを増量しているが、イン側には乗り心地に利くカーボン、アウト側にはグリップを稼げるカーボンを採用している。
振動吸収効果の高いノイズプロテクションシートを左右ショルダー内部に配置し、路面からの振動を抑えることによりロードノイズを低減している。ミニバンの2列目、3列目の乗員にも快適性を与える優しいタイヤだ。
サイドウォール強化のしかたも進化した。カーカスというタイヤを包んで剛性を確保する糸のゴム層の部分の硬度を高めて、タイヤ全体のケース剛性を強化している。一番ホイールに近いビード付近の強化も忘れていない。ビードフィラーの高硬度化とともにスチールサイドプライという補強が施されている。
ミニバン専用タイヤが4代目となって、これまでの実績をもとに細かいチューニングによる最適化が進んだようだ。