EVS22では、燃料電池電気自動車(FCEV)関係の展示が充実していた。しかしFCEVについては、燃料電池の諸性能やコスト、貴金属の資源消費、またインフラ面でも水素の製造、供給網整備など、困難な課題が山積している。
そのため、将来のエネルギーモデルのひとつとして挙げられている「水素社会」の到来を疑問視する向きも多い。EVS22にFCEV関連の技術を出品した各社のエンジニアや首脳は、そうしたネガティブな観測に対して真っ向から反論する。
最も大規模な展示を行ったトヨタの瀧本正民副社長は、「水素社会が来るかどうかなどという悠長な考えはない」と語る。
「頑張って水素社会を実現させないと、将来大変なことになるという思いで研究開発を行っている。脱石油をはかるうえで、水素は絶対に必要なものだ」と、水素エネルギー利用技術の開発に今後も注力すること、またその背景として、社会的エネルギーサイクルの長期トレンドは水素に向いているという観測があることを示唆した。