ビックマイナーチェンジを行なったプジョー『307』には、MT専用グレードのフェリーヌSportが新たに設定された。フェリーヌSportは307CC Sportや『206』RCと同じ177psの2リッターNAエンジンを搭載し、5速MTを組み合わせたスポーティグレードだ。
このフェリーヌSportを走らせて最初に感じたのが“ネコ足”の復活だ。プジョーは307の前身でもある『306』のときにはストロークの深い、比較的柔らかめのサスセッティングを採用し、その路面を捉えて離さないフィーリングを“ネコ足”と表現することが多かった。
しかし307が登場したときには、サスペンションは硬くなり、まるでドイツ車のようなフィーリングに変わっていた。そのため、307の走りにはプジョーらしさが薄れたという声も多かったが、このマイナーチェンジを機にファンの声に応え、しなやかなサスペンションを復活させたようだ。
プジョージャポン サービス部品部の佐藤浩一さんは「新しい307の乗り心地は明らかに変化しているのですが、フランス本国からはどこをどう変えたかという正式なアナウンスがされていないんです。したがって私たちも詳しい説明ができないんです」という。
とはいえ、新しくなった307フェリーヌSportの走りは、以前とは大きく変わっている。走り出した瞬間に乗り心地がよくなったことがわかり、ワインディングを走ってもサスペンションのストロークが増していることが感じられる。このネットリとした路面を離さない足まわりは、まさにプジョー独特のネコ足といえるものだ。
スタビリティ自体は大きく進化してはいないが、この走りはプジョーファンが待ち望んでいたものであることは間違いない。エンジンは177psを発揮するが、スポーツ志向の高回転型エンジンではなく、マニュアルで乗っても扱いやすいエンジン。ネコ足を駆使して操るには、ちょうどよいレベルのエンジンパワーだ。
5速MTも206RCのようにMTそのものの剛性が高くないので、多少気を抜いて操作してもシフトミスを犯すことはないだろう。フェリーヌSportはMT専用のスポーティグレードだが、それほどスポーツを意識することなく、気軽に乗りこなせるところに魅力を感じるモデルだ。(つづく)