1999年東京モーターショーに展示された『XVL』コンセプトカーが、結局新型『スカイライン』の予告になるのだが、当時はスカイラインのスタディとは言っていなかった。なぜか。「二本立てです」と答えたのは開発責任者の宮内照雄チーフ・プロダクトスペシャリスト。
「XVLの開発が始まったのは先代スカイラインR34発表前の98年1月、このときは理想のセダンを追求していました。スカイラインのイメージは固定されていて市場が狭く、セダンを生き返らすにはスカイラインとは切り離して考えるのが良かったのです」。日産の量産車にあてはめれば当然スカイラインになるクルマだったが、XVLは、この時点では「スカイライン」ではなかった。
いっぽう先代スカイラインR34は98年5月に発表され、直後から次期型の開発は始まる。そしてXVLが99年10月の東京モーターショーに展示され、好評を得た。「これがスカイラインのあるべき姿だ」と確信した開発陣は、XVLを次期スカイラインとしたのだった。
デザイン本部の中村史郎・本部長も「XVLとして自由に開発したのが良い結果を生んだと思います。スカイラインは偉大な名前ですから、最初からスカイラインだったら開発は袋小路に入ったでしょう」と語っている。