素材むき出し、MINIに1台限りのポール・スミス仕様…IAAモビリティ2021

MINIハッチバックのEV「クーパーSE」がベース

グリルカバーとホイールのエアロプレートは再生プレキシガラス製

ステアリングホイールのホーンパッドをネットで覆う

ボディシェルが見えるインテリア

Photo by Sven Hoppe/picture alliance via Getty Images
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  • MINIのEVのワンオフモデル「STRIP」とポール・スミス(IAAモビリティ2021)
  • MINIのEVのワンオフモデル「STRIP」(IAAモビリティ2021)
  • MINIのEVのワンオフモデル「STRIP」(IAAモビリティ2021)
  • MINIのEVのワンオフモデル「STRIP」とポール・スミス
  • MINIのEVのワンオフモデル「STRIP」とポール・スミス
  • MINIのEVのワンオフモデル「STRIP」
  • MINIのEVのワンオフモデル「STRIP」

MINIは9月6日、ドイツで開幕したIAAモビリティ2021に、ポール・スミスとのコラボレーションで開発したワンオフモデル、MINI 『STRIP』を出展した。会場には、ポール・スミス本人も姿を見せた。

MINIハッチバックのEV「クーパーSE」がベース

MINI STRIPは、自動車製造における持続可能性というテーマへの革新的なアプローチに主眼を置いた。「シンプルさ、透明性、持続可能性」をテーマに、車両デザインに、より持続可能なアプローチを可能とするための刺激的なアイデアを提示することを目指したという。

ワンオフモデルのベース車両は、MINIハッチバックのEV「クーパーSE」だ。まず、車両全体で不要なアイテムが取り除かれた。続いて、デザイナーが絶対に不可欠と考えた要素のみを定義し、装備した。そこには、持続可能性が前面に押し出されているという。

グリルカバーとホイールのエアロプレートは再生プレキシガラス製

エクステリアは、カラー塗装は使用せず、ボディはむき出しの状態。薄く透明な塗膜のみがボディを腐食から保護している。亜鉛メッキ鋼板は、工場での研削痕を意図的に残した。ポール・スミスは、この意図的にむき出しに見せる表面効果を、「完璧な不完全さ」と呼ぶ。

MINI特有のブラックベルトのパーツは、再生プラスチックから3Dプリントされ、パネルと同様にむき出しの素材のままとした。ポール・スミスのアイデアで、ボディパーツには目に見えるボルトが使用された。これは取り外しが容易で、車両がそのライフサイクルを終えた後、原材料サイクルに簡単に組み入れられることを示すものだという。前後バンパーのインサートは、3Dプリント製だ。

EVならではのグリルカバーとホイールのエアロプレートは、再生プレキシガラス製とした。これにより、軽量化だけでなく、資源も節約する。大型パノラマサンルーフも再生プレキシガラス製だ。

ステアリングホイールのホーンパッドをネットで覆う

ドアを開けると、典型的なポール・スミスのストライプが見えるインテリアとした。細いカラフルなラインや5色のストライプをあしらった。充電リッドには、開いた状態でネオングリーンのカラーアクセントを添えた。充電リッド上の刻印されたコネクターの図案は、ポール・スミス自身が作成したものだ。

ステアリングホイールは、必要最小限の機能に絞り込まれた。ステアリングホイールのリムは、ハンドルバーテープが巻かれている。3本のアルミスポークが、ホーンパッドと接続されており、ホーンパッドはネットだけで覆われ、エアバッグが見える。目に見えるボルトは、エクステリアと同様に、アルミを再利用できるように、後で簡単に取り外すことができることを示している。1時の位置には、小さなポール・スミスのファブリック・ラベルが添えられた。

ドアパネルは、エアバッグを覆っているのと同じネット製だ。フレームで保持され、ドア構造が見えるようにした。見る角度によって編み込まれたネットの透け具合が変化する。コルク製のドアパネル部分にあるプルグリップには、クライミングロープが巻かれた。ドアオープナーは、アルミ削り出し。ルーフフレームは、エアバッグカートリッジが見えるように設置されている。室内の目に見えるむき出しのケーブルと同様に、車両構造において、基本的に表には出ない機能を意図的に演出する狙いがあるという。

ボディシェルが見えるインテリア

インテリアは、ダッシュボード、トッパーパッド、リアシェルフ以外のすべてのトリムパーツを取り除き、ボディシェルが見えるようにした。むき出しの素材部分は、ポール・スミスの要望により、ブルーで塗装された。

通常は複数のパーツを使うダッシュボードは、1枚の大きな半透明ガラスのみで構成されている。クラシックなセンターメーターパネルに代わり、スマートフォンがその役割を担う。スマートフォンがセンターディスプレイの位置に置かれると、自動的に車両に接続され、メディアコントロールンターになる。室内の唯一の触覚的な操作スイッチは、センタースタックの下にあるパワーウィンドウとスタート&ストップ機能用のトグルだ。

「サステイナビリティ(持続可能性)」の観点から、内装にはレザーとクロームはまったく使用されていない。その代わりに、シートはニットテキスタイルで覆われた。単一素材として装備することで、パイピングを含むシートカバーを完全にリサイクルできるようにした。フロアマットは、再生ゴム製。人造大理石のようなパターンは、再生と製造プロセスの副産物という。

ダッシュボードのトッパーパッド、ドアネル、リアシェルフも素材を再生コルクに変更した。ここで使用されているコルクは、人工的な結合剤なしで成形でき、完全にリサイクル可能という。リサイクルの可能性と再生可能な素材としてのコルクは、その製造中にCO2を結合するため、温室効果ガスを節減する可能性が見込まれる。さらに、多孔質性の素材として、ニットとコルクは室内音響にプラスに作用するという。

《森脇稔》

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