MINI『コンセプト・エースマン』はオリジナルに近い次世代デザイン…デザイナーにインタビュー

MINIコンセプト エースマン
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  • MINIデザイン責任者のオリバー・ハイルマーさん

BMWジャパンはMINIのクロスオーバータイプの電気自動車、『コンセプト・エースマン』を日本でも公開。その際にデザイン責任者にインタビューができたので、電動化に関してのデザイン変化などについて話を聞いた。


MINIデザイン責任者のオリバー・ハイルマーさんMINIデザイン責任者のオリバー・ハイルマーさん

◆アイコンは付け加えるものではない

---:電動化戦略の一環で、MINIの各モデルも電動化が進んでいくとのことです。そこでMINIの電動化で必ず守らなければいけないデザインとはどういったものなのでしょう。

MINIデザイン責任者のオリバー・ハイルマーさん(以下敬称略):実は内燃機関と電動モデルを、デザインの観点から区別しようとは思っていないんです。そうではなく、次世代のMINIは、こういうものであるべきだという観点でデザインをしています。

まず開発プロセスの中で、どういった瞬間にそのクルマが象徴的な、アイコニックな存在になるんだろうということをまず考えます。真の意味でのアイコニックな存在になるには、アイコニック的な要素を足せばいいというものではないと思うんですね。

ただし、MINIにおいては既にアイコン的な要素が、“確固たる地位を獲得”しているものもあるわけです。ですからそういったものは、将来に向けて受け継いでいきたいといと思っています。

実はこのコンセプトカーに関しては、その過去のアイコン的な要素はあまり反映されてないモデルになっていますけれども、MINIクーパーの後継車(『クーパー・エレクトリック』)は、過去に慣れ親しんできたアイコン的な要素を多く取り入れています。

さて、コンセプト・エースマンのフロントを見てください。最初にこれをデザインするときにオリジナルのMINIのデザインを見返してみました。グリルの部分とヘッドランプの部分のプロポーションを見てみたんですね。オリジナルのデザインは、グリルの部分がクルマ全体かというぐらいスペースをとっていましたよね。それからグリルとヘッドランプの高さの関係もオリジナルのデザインをそのまま忠実に表現してます。

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もちろんモデルによってキャラクターは違ってきますので、クーパーの場合はこのヘッドランプの部分は違う形で、より進化したようなヘッドランプになるでしょう。

そして、コンセプト・エースマンをサイドから見ると、Aピラーのラインが特徴的です。これも過去との結び付き、オリジナルモデルのオマージュ的な要素をエースマン コンセプトで表現しています。同時に色のコントラスト、トップのグリーンと、ボディの色を変えることでコントラストを出して、キャラを引き立たせています。

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◆オリジナルMINIに最も近いインテリア

---:インテリアはいかがですか。

オリバー:このインテリアはかなりオリジナル・ミニに近いものになっています。これまでのMINIのシリーズの中で最もオリジナルに近いといってもいいくらいです。

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また、触感で愛を感じることも重要だと思っています。例えばトグルスイッチもオリジナルに近いものになってますし、トグルバーの真ん中のところには鍵を回さなければいけないようなイメージのものが取り付けられています。それは過去のMINIに採用されていたキーシリンダーを模したものなのです。そこからMINIに触れていると感じて、新しいモデルでも愛を感じていただく。そういった過去との繋がりを実現させてます。

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◆グリーンは伝統的なカラー

---:今回グリーンを意図的に配色していますが、この意図は何でしょう。

オリバー:MINIにとってグリーンはすごく重要なカラーの1つですし、今後も重要なカラーであり続けます。コンセプト・エースマンの場合はブリティッシュレーシンググリーンから着想を得て作っています。実はブリティッシュレーシンググリーンは、初期から4~5種類くらい微妙にですが変化して来ています。これを考えても、グリーンはいまも重要ですし、今後も重要なカラーであり続けるでしょう。

因みに『クロスオーバー・アンテイムド・エディション』という特別仕様車も、グリーンのシートを採用しています。そのグリーンを基調にしながら、ライトブルーのパイピングを入れてるんですね。そうしてモダナイズしてちょっと“ひねり”を入れているのです。

MINI クロスオーバーアンテイムドエディションMINI クロスオーバーアンテイムドエディションMINI クロスオーバーアンテイムドエディションMINI クロスオーバーアンテイムドエディション

ですからMINIの場合は明らかにこうやっていますというように、わかりやすく大きく表現するのではなく、本当に細かいところ、些細なこだわりの部分で気づいてもらえるようなやり方がクルマのキャラに合っているのです。

さて、コンセプト・エースマンのシート全体にはクラシックなブリティッシュパターンの“ハウストゥース”から着想を得ています。かなり大きなサイズのパターンにしてここに入れてるんです。特に最近はファッション業界でも注目されている、イギリスならではのパターンなんですけれども、それを現代化、モダンナイズして表現しています。

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---:それがこのクルマでいうところの未来へのひねりみたいなものですか。

オリバー:その通りです。

---:他にも何かひねりはありますか。

オリバー:例えばルーフラックのところです。実際にシートに座っていただくとユニオンジャックのルーフが見えますよね。これもひねりのひとつです。

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また、ユニオンジャックがアイコン的な存在のひとつになっていますが、それを取り入れた、私たちがスーパーサインと呼んでいる、例えばテールランプは遠くから見てもMINIだとわかるような存在があります。

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それから先ほどのオリジナルMINIに限りなく近いと表現したセンターのトグルスイッチ類ですが、それぞれのスイッチがひとつの機能に固定されているわけではなく、自分の好きなものに、その選択肢が2つになるのか、3つになるか、そこはまだ決まっていませんけが、その中から選んでもらえるように、パーソナル化をすることができます。

このパーソナル化というのはMINIにとってはとても重要なのです。自分に合ったものを選ぶことがすごく重要であり、同時にお客様にとってはすごく楽しみだと思うんですね。それが単にボディの色とかインテリアのファブリックとかではだけではなく、こういった部分にまでパーソナル化できる楽しみを届けたいなと思ってデザインしています。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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