国土交通省航空局は、飛行機のシートベルト着用について、運用の厳格化にむけた通達改正を行うことを決めた。12月中旬からの適用を目指し、パブリックコメントを募集している。
通達が改正されると、航空会社は乗客全員のシートベルト着用を確認するまで、飛行機を動かすことができなくなる。
これまでの通達でも規制はあった。「飛行機の離陸、着陸時及び地上滑走の間」のシートベルト着用を義務付けるもの。しかし、この「地上滑走の間」の解釈が、各社で違っていた。シートベルト着用を最も早く乗客に求める会社では、飛行機のドアを閉めた時、最も遅い会社では飛行機が自走を開始した時と、幅があった。
例えば、飛行機が滑走路に出るまでエンジンの推進力を使わず、トーイングカーを使って押し出されるプッシュバック中はその中間にあたるが、その時の乗客は頭上のロッカーに手荷物を収容するために立ち上がっていることもある。全日空の9月30日の福岡~羽田便での定員オーバーは、乗客が立ったままでのプッシュバックで、あふれた乗客の発見が遅れた。航空局安全部は、このトラブルを契機に航空各社の対応を調べて、「速度が遅くとも動いている時に通路に人が立っている可能性があることはリスクがある。何か緊急脱出時に誘導もできない」(航空事業安全室)と、問題視した。
通達改正では、シートベルト着用の運用に予断が含まれないように駐機場からの移動時からシートベルト着用が徹底されるように「地上移動時」や「プッシュバック時」という明確な言葉に置き換えることを検討する。