【インタビュー】三菱自の17年度V字回復に自信…ゴーン日産社長

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日産 カルロス・ゴーン社長
  • 日産 カルロス・ゴーン社長
  • 日産のゴーン社長(向かって左)と三菱自の益子現会長兼社長
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日産自動車のカルロス・ゴーン社長は10月21日、横浜市の本社で三菱自動車工業との提携について報道関係者の共同取材に応じた。

このなかで、三菱自動車の益子修会長兼社長の社長留任については「最適のチョイス」と、適切な起用との考えを改めて示した。また、今期が大幅赤字となる三菱自動車の2017年度(18年3月期)の業績については「V字回復への自信はある」と表明した。

三菱は速く動かねばならないので、ルーキーでは困る

---:三菱自動車の社長に益子修氏を引き続き起用する狙いは。益子氏をどう評価していますか。

ゴーン社長:三菱自動車には大きな潜在力がある。直近の業績は悪化するが、益子さんは2014年度と15年度は非常に良い財務実績をあげた。軽自動車の協業を進めて以来、信頼関係を築いてきた。謙虚な人で決して傲慢ではなく、事実を認める人だ。辞めたいというのを私がひき止めた。CEO(最高経営責任者)として非常に責任を感じておられ、そこをわれわれは評価している。(再建を推進するには)三菱の人でなければならない。これまでの実績もあるし、速く動かなければならない。(自動車経営の)ルーキーでは困る。益子さんが最適のチョイスだ。

---:三菱自動車にはゴーン社長のほかに3人の取締役と最高執行責任者(COO)も派遣する。ゴーン社長が会長に就く必要はあるのでしょうか。

ゴーン:株主と皆さんの考え方は違うかも知れない。私が会長になると『日経新聞』が報じたら、三菱自動車の株価は上がった(笑)。私は株主のために仕事をしている。また、アライアンス相手のトップが三菱に関与しないと、アライアンスとしては見られないだろう。私が取締役になることは重要だ。同時に益子さんが社長を続けるのは、三菱の心構えにも、イメージにも、株主にも重要である。

提携拡大はチャンスがあればアライアンスのノウハウを活用する

---:益子社長と、11月にCEOになるトレバー・マン氏との役割分担は。

ゴーン:マンの役割は益子さんに決めてもらう。(貴重な人材であり)われわれは頑張ってマンを派遣した。マンは常に日産とルノーのシナジー効果を把握してきたので、益子さんには大きな助けになるだろう。

---:ルノー・日産アライアンスに三菱自動車が加わったことで、グローバル販売は1000万台近い規模になる。今後もアライアンスを拡大するのか、あるいはこれで十分となるのでしょうか。

ゴーン:これには2つの側面がある。まず、(1000万台規模となって)完全にスケールメリットが享受できる立場になったということ。優位な立場でもある。しかし、一方で日産とルノーの17年間のアライアンスで、われわれは貴重なノウハウを蓄えてきた。アライアンスをうまく行っていくというノウハウだ。1000万台あれば大丈夫、あとは合従連衡が進むというのでなく、チャンスがあれば、われわれのノウハウを活用することもあるだろう。

経営体制やシナジーでV字回復させる

---:20日の記者会見では三菱自動車との提携シナジーについて、1株当たり純利益で17年度には4円、18年度には10円の増加をもたらす見込みと指摘した。こうしたシナジー効果は17年度からの日産の株式配当にも反映されるのでしょうか。

ゴーン:まだ、16年度も終わっていないので、配当については時期尚早だ(笑)。ただし、1株当たり利益の増加は、もちろん配当にもつながるので、日産の株主はメリットを享受することになる。三菱自動車の株主にもメリットはあり、株価はここ3日間で13~14%上昇した。アライアンスのシナジーは(17年度以降の)配当に影響してくるが、今は時期尚早で話せない。

---:三菱自動車の16年度の業績予想は19日に、連結最終損益が2400億円の大幅赤字に下方修正された。ここで一気にウミ出しするのは、1999年からの日産の再建プランにも似ている。三菱の17年度以降の業績はV字回復するのか。そこに自信はありますか。

ゴーン:はい、V字回復への自信はある。第1に力強い(経営)体制が整ってきた。第2に(ピックアップトラックなどの商品や特定海外地域での)三菱自動車の強みは損なわれておらず、依然として強みをもつ。そして3番目にアライアンスのシナジー効果である。三菱側のシナジーは17年度に250億円にのぼる。16年度は燃費不正への補償など一過性のものがあって赤字になるが、17年度はV字回復する。アライアンスのシナジーをV字回復につなげなければ残念だし、がっかりとなってしまう。

《池原照雄》

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