「たかだか10分の差」北陸新幹線舞鶴ルートの必要性強調…舞鶴市長

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舞鶴市の多々見市長は北陸新幹線舞鶴ルートの必要性を説明。山陰新幹線との共用区間と位置付けて整備すべきとした。
  • 舞鶴市の多々見市長は北陸新幹線舞鶴ルートの必要性を説明。山陰新幹線との共用区間と位置付けて整備すべきとした。
  • 北陸新幹線敦賀以西のルート案。与党検討委は湖西ルートと小浜ルートを除く3案に絞り、年内にも結論を出す見込みだ。
  • 舞鶴市の多々見市長。

京都府舞鶴市の多々見良三市長は9月27日、東京都内で記者会見を開き、北陸新幹線「舞鶴ルート」(敦賀~小浜~舞鶴~京都~新大阪)の実現に向け活発な誘致運動を展開していく方針を明らかにした。

整備新幹線でルートが唯一確定していない北陸新幹線の敦賀以西は、1973年11月の整備計画決定時に、福井県小浜市付近を通る「小浜ルート」(敦賀~小浜~新大阪)が盛り込まれている。1980年代以降は小浜ルートに加え、滋賀県の琵琶湖東岸を通る「米原ルート」(敦賀~米原)と、琵琶湖西岸の「湖西ルート」(敦賀~京都)が浮上。近年はこの3案を軸に比較検討が進められてきた。

しかし、2015年以降はJR西日本が提案した敦賀~小浜~京都~新大阪間の「小浜・京都ルート」と、与党の整備新幹線検討委員会で取り上げられた舞鶴ルートが浮上。いずれも京都を通る案で、京都~新大阪間は関西学術研究都市付近を通る「南回りルート」と、大阪府箕面市付近を通る「北回りルート」も検討対象に加わった。

与党検討委は今年4月以降、小浜ルートと湖西ルートを除いた敦賀~米原・京都間の3案と京都~新大阪間の2案に絞り込んで検討を進めており、年内にもルートを決める方針だ。このため、各ルート案の沿線自治体は誘致運動を活発化させている。

会見で多々見市長は「舞鶴には自衛隊の基地など国防上の重要拠点がある。ここに新幹線を通すことは国益につながる」などとし、舞鶴ルートの必要性を強調。3案のなかで舞鶴ルートは建設距離が最も長く、関西~北陸間の所要時間も他の2案に比べて長いが、「たかだか10分程度の差。新幹線は単に短いルートを通るのではなく、重要な地域を高速で結ぶのが目的だ。北陸新幹線も長野~富山間で新潟県上越市へ迂回(うかい)している」などと反論した。

また、「舞鶴ルートを山陰新幹線との共用区間と位置付ければ、北陸新幹線と山陰新幹線を別々に建設するより建設費が安くなる」などとし、山陰新幹線の建設も見据えて舞鶴ルートを採用するべきとした。山陰新幹線は1973年11月、大阪市~鳥取市付近~松江市付近~下関市間の基本計画が決定しているが、大阪~鳥取間のルートは確定していない。

舞鶴市は今後、山陰新幹線や京都~新大阪間南回りルートの沿線自治体などと連携し、舞鶴ルートの誘致活動を進めていく方針。舞鶴市を含む京都府北部の自治体などで構成される北陸新幹線京都府北部ルート誘致促進同盟会は10月26日、山陰縦貫・超高速鉄道整備推進市町村会議や北陸新幹線京都府南部ルート誘致促進同盟会とともに、都内で総決起大会を開く予定だ。

《草町義和》

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