28日に開催された「2016年 日産モータースポーツ活動計画発表会」。SUPER GTに挑む面々をはじめとする日産勢の選手&首脳たちが今季に向けての様々な決意や想いを語ったが、そのなかでGT500クラス3連覇を狙うNISMOの鈴木豊監督は“開幕勝利”を強く意識する旨を話している。
他チームの選手や監督からは、「NISMOには3連覇させない。ウチがシリーズチャンピオンになって日産勢3連覇だ」という意のコメントも多く聞かれた今季体制発表会。集まったファンの反応からも、今年はNISMO以外のチームの奮起を期待する雰囲気がひしひしと感じられるところだったが、鈴木監督は「3連覇にこだわって小さくまとまるようなことなく、開幕戦からガンガンいきます」とコメント。そしてさらに、「最近(日産勢が)開幕戦を勝てていないので、まずは開幕戦、今年は必ずGT-Rが勝って、景気づけていきたいと思います」と、他チームのメンバーたちも見渡すようにしながら付け加えた。
過去5年でGT500クラスを4度制覇している日産勢だが、確かに近年は初戦勝利がない。12~15年の開幕戦岡山はいずれも敗戦。11年は震災の影響で第2戦富士が実質初戦となり、その後に第1戦岡山が行なわれる変則日程だったが、この時は富士、岡山とも日産勢が勝った。それ以来、日産勢は開幕戦岡山で4連敗継続中ということになり、ちょっと意外な印象でもある近況だ。
もっとも、獲得ポイントがウエイトハンデに直結するSUPER GTの場合、開幕ウイナーはチャンピオン争いで不利、という見方も存在するため、ある意味では王者日産が開幕戦で勝てていない構図は理にかなっているともいえる。しかしながら、ノーハンデの開幕戦こそ真の速さを競う場、という考え方もあり、また岡山に毎年やって来るファンの気持ちを考えれば、やはりここでの5年ぶりの勝利は意識したいところだろう。
NISMOはマシン開発面でも日産勢を牽引する。今季のGT-Rの開発の方向性については、レギュレーション的な縛りも考慮したうえで、「今年はエンジン勝負」と鈴木監督。「去年は耐久性を重視した年でしたが、(その分、パフォーマンス面で)レクサスさん、ホンダさんに追いつかれたところもありましたからね」。再度のパワーアップ重視で、3連覇阻止に燃える他メーカーを振りきる決意のようだ。「年末からのテストで手応えを感じています」。
今年も栄光のカーナンバー1を纏い、松田次生とロニー・クインタレッリのコンビを擁して戦う日産艦隊の総旗艦“NISMO号”「MOTUL AUTECH GT-R」は、開幕戦岡山(4月9~10日)で3連覇へ最高の船出を飾れるか。それとも他の日産勢がGT-Rとして5年ぶりの岡山勝利を果たすのか、あるいはレクサス、ホンダがここを制するのか。1カ月と少し先の戦いが待ち遠しいかぎりだ。