【新年インタビュー】自工会池会長、日本経済の「元気」を取り戻す

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日本自動車工業会 池史彦会長
  • 日本自動車工業会 池史彦会長
  • トヨタ プリウス(東京モーターショー15)
  • ホンダ(東京モーターショー15)
  • 日本自動車工業会 池史彦会長
  • 日産 自動運転公道テストの実験車両
  • マツダ CX-3 の船積み風景(参考画像)
  • マルチ・スズキのマネサール工場
  • 日本自動車工業会 池史彦会長
日本自動車工業会の池史彦会長は、2016年に向けたメディア各社との共同インタビューで、新年を日本経済が「元気」を取り戻す年にしたいと強調した。

一方で、中長期では国内の新車需要減によって生産維持も限界点に近づいているとの認識から、過重なクルマ税制の見直しを訴えた。


◆国内市場は厳しいが、魅力ある商品で活性化を

----:2016年の国内新車市場をどう見ていますか。

池史彦会長(以下敬称略):14年に消費税が引き上げられて以降、自動車販売についてはずっと厳しい状況が続いている。15年は東京モーターショーなどのイベントで何とか盛り上げたいと取り組んだが、残念ながらまだ回復していない。17年には消費税がまた上がるので、住宅、自動車という日本経済をけん引する2つのセクターで、駆け込みや反動減による混乱があるのはよくない。政府としても色々考えていただけるということなので期待したい。

自動車メーカーとしてできることは、やはり魅力ある商品を提供していくということに尽きるが、何とか(市場を)活性化していきたい。昨年の東京モーターショーでの反応を見ても、クルマは好きだという方がまだまだ、たくさんいらっしゃる。若い人のクルマ離れが指摘されて久しいが、これはクルマに接するという機会が昔ほどないということであって、いざ実際に接していただくと関心をもち、魅力を理解いただけると思っている。自工会として、そういう場をいかに提供するかであり、今年は東京モーターショーはないが、休催年としての楽しいイベントをこれから企画して実行していきたい。

----:海外は先進国、新興国それぞれどのように展望しますか。

池:米国はついに利上げに踏み切ったが、緩和から利上げということは米国経済が指標的にも底堅いということだ。引き続き緩やかな緩和を続けるので、米国のお客様は金利に非常に敏感だというものの、米国市場そのものがこれで急にシュリンクすることはないと思っている。

海外市場への連鎖についてはもう少し時間をかけて見る必要があるが、個人的には新興国のお金が米国に集中的に流れることはないのではと思っている。希望的観測も含めて世界の市場が急変することはないだろう。さはさりながら、米国の金融政策が新興国にどう影響を及ぼすかは注視していきたい。

中国は経済の減速感が指摘されて久しいが、マクロ経済的には減速が免れないし国の方針としてもそう公言されている。中国の自動車市場は、一時のような成長はないものの、小型車に対する税金の優遇策などもあって、今のところは落ち込んでいない。長い目で見ると若干、注視する必要があるものの、母数そのものが大きい市場なので、世界各国および自動車メーカーとも期待感は大きい。そのほかの新興国では、アジアにおいてはインドネシアやタイで、そろそろ底打ちしていいのかなと、これも希望的観測をもっている。


◆社会的受容性など課題…自動運転技術

----:自工会は15年秋に自動運転に関するビジョンを発表しましたが、今後、業界として取り組む課題は。

池:自動運転そのものは、個々の安全技術の積み重ねであり、最終的には周りの交通環境や道路インフラ、さらに歩行者などを含めたすべての交通参加者とのコミュニケーションが事故を防ぐ大きなものになる。その辺りの社会的コンセンサスや法的な整備、さらに通信やデバイスの標準化などは、個別企業で進めていくものでなく、産官学が連携してやっていく領域となる。自工会は昨年の東京モーターショーで「自動運転ビジョン」を発信したが、その作成過程に各社が参加し、自動車メーカーの総意としてこういう目標に向かって行こうというロードマップを書くことができた。

ただ、個別企業の技術レベルで高速道路を自動運転で走ることができるようになっても、まだまだ社会のなかに入っていけるということにはならない。社会的コンセンサスだとか、法的整備とか、社会に溶け込むということでは色々な課題がある。そうした課題を明らかにするというのも昨年のビジョン発信のひとつの目的だ。関係する皆さんからご意見をいただきながら課題を抽出し、答えを出していく。ビジョンはそのための、ひとつのスターティングポイントとして発信した。


◆需要減で日本の生産維持は限界に近づいている

----:国内市場は今後、消費税のさらなる引き上げによる可処分所得の伸び悩みや人口減などの影響を受けます。自動車産業が生きていくには中期的にどうあるべきでしょう。

池:中長期で見ると日本の内需は減っていく。出生率を上げていただいて人口を増やさないことには増えない。自動車業界が生産拠点をどう構えるかという点では、これ以上需要が下がったら日本で生産が維持できないという、ある種、限界に近づいている。日本で生産が維持できないということは、いくら研究開発をここでやっても、それを量産技術につなげるには生産現場がないのでできなくなるということだ。

従って、これ以上需要がなくならないよう何とかしてくださいというのが税制への要望である。今はクルマの性能が良くなって買い替えサイクルが13年、14年へと延びているが、200万円のクルマを買って13年も乗ると、税金が同じ額になる。とにかく、クルマに対する税負担が重い。税制は税収ありきとなるので、自動車の税収は税目を変えても自動車から賄うということで、ちっとも負担は軽くならない。余りにも高い税金であり、このままでいくと自動車が日本の産業、経済を引っ張るのは相当厳しい状況になる。

自動車メーカーは、各社とも海外に生産拠点を構え、需要のある所で造っているわけだが、本当にコアの技術というのは日本で開発しているので、どれだけ付加価値の高い技術をイノベーションできるかというのがひとつのキーとなる。高度な技術開発を積み上げていかねばならないので、日本の生産がそれを支えなければならないし、必要である。

裏を返せば、世界の市場はまだまだモータリーゼーションが進むところ、あるいは環境意識の高い先進国といったようにステージに多様性がある。それぞれのステージに合った技術開発はまだ課題として残されているので、日本でのモノづくりの強さというのを再認識、再構築するのも中長期で重要な視点のひとつだと思う。


◆間違いなく「元気」を取り戻す年に

----:16年を「○○な年にしたい」ということで表現してください。

池:間違いなく「元気な年」にしたい。色々な経済的なカゲリも出てきているので、われわれの努力の足りないところ、深掘りの足りないところもあるのだろうから、謙虚に真摯にもう一度見直して日本の経済が元気を取り戻すようにしたい。来年4月にまた消費税が上がってクルマの需要が冷え込んで、ということを繰り返していると、自動車が日本経済を引っ張るといっても難しい状況になるので、そこは何とかわれわれとしてもやっていきたい。ある種、正念場に来ているので、元気を取り戻す施策を経済界だけでなく、国としてもお願いしたい。
《池原照雄》

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