【オートモーティブワールド16】革新パッケージFCVで描く、水素社会へのアプローチ…本田技術研究所 清水潔氏インタビュー

自動車 ビジネス 企業動向

本田技術研究所 清水潔氏
  • 本田技術研究所 清水潔氏
  • ホンダ クラリティ フューエル セル(東京モーターショー15)
  • ホンダ クラリティ フューエル セル
  • 本田技術研究所 清水潔氏
  • ホンダ クラリティ フューエル セル
  • スマート水素ステーション
  • ホンダ クラリティ フューエル セル(東京モーターショー15)
  • 本田技術研究所 清水潔氏
ホンダは燃料電池車(FCV)『クラリティ フューエル セル』を2016年3月から販売を開始する。トヨタ自動車のFCV『MIRAI』に1年3か月遅れでの市販化となるが、開発責任者を務める本田技術研究所の清水潔主任研究員は「将来の普及に向けた大きな一歩」と自信を示す。

今秋の東京モーターショーで世界初公開されたクラリティ フューエル セルは、燃料電池(FC)システムをV型6気筒エンジン並みにコンパクト化することでボンネット内に収納し、大人5人がゆったり座れるフルキャビンパッケージを実現したのが最大の特徴となっている。

清水氏は「こういう車は普及しないと意味がない技術。使い勝手やパッケージング、動力性能を含めた性能の面でもガソリン車と遜色のないような車にしていかないと、置き換わっていけない」と指摘。

その上で「クラリティ フューエル セルでは、ボンネットの中にFCシステムを納めたので、エンジンに代わるパワートレインとして存在できる可能性がでてきた。V6エンジンが載る車であればFCシステムを載せられるので、将来の普及に向けての必要なステップを踏み出せたのではないかと考えている」と語る。

さらに「セダンはやはり5人乗れないとセダンと呼べないのではないか。そうした意味でもクラリティ フューエル セルのパッケージというのは革新的で、将来を見据えた形といえる」と強調する

クラリティ フューエル セルは国内では自治体や企業向けリース販売が先行する。「難しい技術なので、すぐに年間何万台という大量生産にはなかなかいけない。まずは少量からスタートし、2016年度は日本向け200台で始める。ステップ・バイ・ステップでと、ホンダは考えている」と清水氏は話す。

その200台も「補助金などの施策を展開する地方自治体や企業との事前に話し合いを進めてきている中で、すでにほぼ埋まっている」という。さらに清水氏は「(先代の)『FCX クラリティ』はグローバルで販売台数が100台程度だった。そうした意味ではケタの違う台数をクラリティ フューエル セルでは出していく形になる。MIRAIの受注状況をみると、ホンダは1年遅れで出すことになるが、ある程度の需要は見込める」とみる。

また「次の年度に向けては一般ユーザーの方にも販売していく。最初は企業向けなどと同様にリースでの販売になるが、その先については売り切っていくようなところまで、ステップとしては考えている」とも。

クラリティ フューエル セルは世界で初めてFCシステムをボンネット内に収納することを実現したが、清水氏は「システムをさらに小型化して、もう少し小さいサイズの車にも積めるようにしたい」と明かす。というのも「クラリティ フューエル セルやMIRAIだけで何十万台も普及させるのは難しい。ある程度のバリエーション展開を考えないといけない時期がいずれ来る」からだ。

また「周辺のシステムを含めたコストはまだまだ高くて、燃料電池システム特有な例えば空気を送り込むポンプ、コンプレッサーひとつとっても、燃料電池パワートレイン用に専用開発しているものが多いので、そうしたもののコストも下げていかなくてはならない」ことも課題としてあげる。

一方、ホンダはFCVの普及に向けて車両だけではなく水素ステーションでも独自の取り組みを進めている。高圧水電解システムを採用したパッケージ型の『スマート水素ステーション(SHS)』がそれで、清水氏は「SHSを世の中に設置をすることで、これまで商業の大型水素ステーションが無い場所でも、FCVを出していける環境を整えていく考え。SHSと一緒にFCVを出すことによって国の補助がでていない地域でも導入の可能性がでてくる。そういう意味でも普及拡大に向けたひとつの取り組みとしてホンダ特有な動き方と思っている」と解説する。

清水氏は2016年1月15日に東京ビッグサイトで開催されるオートモーティブワード2016の専門技術セミナー『FCVの普及期に向けた各社の最新技術と展望』に登壇、「Hondaの新型燃料電池自動車の概要とその開発への取組み」と題した講演をおこなう。このセミナーでは清水氏のほか、トヨタでFC技術・開発部主査を務める小島康一氏、独ダイムラーでFCダイレクターを務めるChristian Mohrdieck氏も列席、各社の戦略が披露される見通し。

清水氏は同セミナーで「クラリティ フューエル セルの開発にあたり、何を狙ってきたか、その狙いを達成するための技術的な進化や工夫。さらにはホンダが燃料電池自動車以外のところも含めて水素社会に取り組む考え方も紹介したい」と語っていた。

オートモーティブワード2016の開催は、2016年1月13~15日。会場は東京ビッグサイト。専門技術セミナーは事前申し込みが必要。
《小松哲也》

編集部おすすめのニュース

特集

おすすめの商品

自動車 ビジネス アクセスランキング

  1. スバル富士重、国内外販売好調…総生産台数は8か月連続プラス 6月実績

    スバル富士重、国内外販売好調…総生産台数は8か月連続プラス 6月実績

  2. マツダ青山執行役員、国内販売大幅減も「正価販売は今後も継続する」

    マツダ青山執行役員、国内販売大幅減も「正価販売は今後も継続する」

  3. ホイールアライメントって何? 調整の必要な理由とは

    ホイールアライメントって何? 調整の必要な理由とは

  4. ホンダの総生産台数、13か月連続プラス…7.8%増の42万5305台 6月実績

  5. 【リコール】UDトラックス クオン、謎の自動ブレーキ…プログラム不具合だった

  6. 「フェラーリやってます」輸入車販売のニコル、横浜でモーターショー

  7. マツダ、国内販売が9か月連続マイナス…36.4%減 6月実績

  8. 日産のグローバル生産台数、過去最高…48万7908台 6月実績

  9. 日産、下げ止まらない国内販売シェア 第1四半期決算

  10. マツダ 藤本常務、円高には「会社のリソーセス総動員して対応」

アクセスランキングをもっと見る

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら