42年ぶり循環運行を開始した札幌市電…課題は長い交差点待ちか?

鉄道 行政

開業前日に開催された出発式。秋元札幌市長(左から5人目)らがテープを切った。
  • 開業前日に開催された出発式。秋元札幌市長(左から5人目)らがテープを切った。
  • 歩行者天国となった札幌駅前通りに展示された市電車両。左手は冬の風物詩「雪ミク電車」の2016年バージョン。
  • 出発式の後に発車する試乗一番電車。
  • ゆるキャラもくす玉割を盛り上げる。
  • 外回り線に入る試乗電車。歩行者天国となっていたため両脇を大勢の人に囲まれた。本運行ではまず見られない光景。
  • 「外回り 循環」の行先表示を掲げた248号。
  • 新たな停留場となった「狸小路」。下車客がかなり多かった。
  • 各停留場に掲示されている路線図もループ化された。
今春の着工以来、工事が進められてきた札幌市電の新線(西4丁目~すすきの間0.4km)が12月20日に開業し、電車の循環運行が始まった。

西4丁目~すすきの間は、42年前の1973年3月まで路面電車が運行されていたが、当時は現在の中央分離帯付近にあった複線の軌道を走行していた。今回復活した新線は、歩道脇を走る「サイドリザベーション方式」が採用されることになり、2013年4月、市電の循環化事業に着手。当初は2014年度に軌道工事などを進め、習熟運転などの準備を経て今春に開業する計画だったが、入札不調で工事が遅れ、半年以上遅れての開業となった。

工事は5月から6月にかけて実施された、すすきの停留場と西4丁目停留場の移設に始まり、札幌駅前通りを通る本線部分の工事は、7月に開催されるイベントの終了を待って開始された。軌道の敷設は10月にはほぼ終了し、11月からは安全確認のための習熟運転が開始され、開業前の総仕上げが行われている。

サイドリザベーション方式となった新線は、西4丁目方向へ向かう西側の軌道を「内回り」、すすきの方向へ向かう東側の軌道を「外回り」と呼ぶ。行先表示は、循環便が「内回り 循環」「外回り 循環」という表記となり、中央図書館前発着の循環しない電車は「内回り」「外回り」の表記に加えて行先が表記されている。

新線の途中には狸小路停留場が設置されたほか、内回り線の西4丁目停留場は、西側へカーブする手前の4丁目プラザ前にホームが新設されている。外回り線の西4丁目停留場は従来通りの位置となっているが、西側に降車専用ホームが設置されており、続行運行の際、後続の電車がすばやく乗客を降ろせる構造となっている。

一方、すすきの停留場は2面1線のホームが2面2線の対向式になり、西側の中央に折返し設備と乗務員交替用と思われる小ホームが設置されている。ここでは、従来の軌道との接続の都合上、構内西側の軌道は曲線が入った形状となり、発車した外回り線の電車はやや外側に膨らんだ形で従来の軌道と接続している。西4丁目停留場も内回り線の西側軌道はやや膨らんでいるが、すすきの停留場ほど急ではないようだ。

新線の開業に伴い、札幌駅前通りは道路交通法第21条に基づき、右左折時を除いて軌道敷内通行禁止の措置が採られているほか、車道は駐車禁止除外指定標車も含め、24時間全面駐車禁止となっている。電車の車体には車道側(右側)にもバックミラーが設置され、サイドリザベーション区間における安全運行に備えている。

開業前日となる12月19日には、記念切符の発売や秋元札幌市長らが参列した出発式と車両展示などが行われ、翌日の開業ムードを盛り上げた。当日は試乗電車も運行され、関係者やマスコミを除く一般市民およそ100人が抽選により招待されたが、倍率は3倍程度だったという。記者は運よく抽選に当たり、最後の試乗電車に乗り込むことができた。

試乗電車は内回り線の西4丁目停留場を発車してカーブした後、西側から渡り線を通って外回り線の西4丁目停留場へ。そこからすすきの方向へ発車したが、札幌駅前通りが歩行者天国になっていたこともあって、大勢の人に囲まれながらのカーブ通過となった。すすきの停留場に到着した試乗電車はいったん折返し線に入り、スイッチバックする形で内回り線へ移動し、4丁目プラザ前の西4丁目停留場に到着。乗車したままでの渡り線や折返し線の通過は、試乗電車ならではの貴重な体験だった。

開業した12月20日には、お昼過ぎに通常運行の電車に乗車してみたが、どの電車も朝ラッシュ時並の混雑ぶりで、西4丁目停留場やすすきの停留場の直近の停留場では乗り切れないこともあった。やはり下車客は狸小路停留場がかなり多く、そのままさっぽろ地下街や狸小路アーケード街へ入ることができる利便性が受けていたようだ。

ただ、西4丁目停留場とすすきの停留場は乗降客が多い上に、札幌駅前通りとの交差点における信号待ちが長いため、狸小路へ行くのなら新線に入らず、そのままどちらかの停留場から地下街に入って歩いた方が早いのではないかという気がした。かつて循環運行していた時代は、現在のような歩車分離式信号機を使ったスクランブル交差点がなかっただけに、人と車の動きが複雑となった時代に電車が追いついていない印象を受けた。
《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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