【川崎大輔の流通大陸】市場に求められる透明性、香港中古車ビジネス

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キングスオートは、香港向け中古車事業の拡大を目指していくため2015年7月に香港に駐在事務所を開設。代表取締役社長の倉田秀一郎氏に香港での中古車ビジネスの魅力と課題について話を聞いた。


◆香港の中古車ビジネスの現状

現在の香港には1万2000台~1万4000台ほどの中古車が1年間に輸入されている。日本から全体の75%~80%、同じ右ハンドルのイギリスから20%~25%が輸入されている。中古車の販売形態としては、中古車ディーラーからの購入、若しくは個人間売買があげられる。

香港では“28car.com”という中古車ウェブサイトが最大で、個人間売買のC to Cだけでなく、中古車ディーラーが在庫車をウェブに掲載して販売するB to Cも行われている。新聞や無料雑誌などでも個人間売買に関する情報が掲載されている。自動車を購入する客層が高所得者から、一般所得者へ移ってきており、このような客層のシフトによって、1台あたりの単価が減り店舗あたりの利益は減少傾向になっているという。

また、香港の中古車市場を考える際に理解しておく必要があるポイントがある。それは、香港島、九龍島のエリアと中国に近い新界エリアとでは販売される自動車の車種、さらにはターゲットが異なるということだ。

香港島、九龍島は欧米車などの高級車が多いが、一方で新界エリアは安めの自動車が多い。また中古車販売店も香港島や九龍島などでは、雑居ビルに中古車販売店が固まって入っている比較的規模が大きい中古車展示販売場が一般的だが、新界エリアでは野原に店舗が固まって存在しており、様相が異なる。整備ビジネスも新界エリアでは整備会社が飽和状態だ。

日本人より香港人は器用かもしれず、日本人整備士が現地でビジネスを行ったとしてもそれほどブランド差別化にはならない可能性が高い。香港島、九龍島だけの市場を見ていると香港自動車市場全体の判断を誤る可能性があるということをあらかじめ理解しておく必要があるだろう。


◆香港の中古車輸出ビジネスに残されている課題

香港へ中古車を輸入する条件としての車両性能基準に、右ハンドルであること、排ガス及び騒音が環境保護庁の規定に当てはまること、輸入者がライセンス(自動車輸入業者)を登録していること、この3つが挙げられている。更に、最初から第3国に再輸出目的で輸入する場合には、輸入・輸出ライセンスの取得が必要となる。このような制約された条件がある中で、香港へ無事に中古車を輸出させたにもかかわらず、売掛金の回収が大きな課題となっているようだ。

また、人脈の強さが大きな武器となる香港では「安かろう悪かろう」とは香港人は考えておらず、他国に比べ利幅が薄いという課題も残っている。つまり安ければ売れるというわけでもなく、人とのつながりが重要視されている市場であると言える。多くの中古車販売店の仕入れは、業者に頼むのが一般的であるが、ほとんどの業者が香港人、若しくは台湾人である。彼らが日本に作った日本支店というネットワークを利用し中古車を日本から輸入している。

キングスオート(香港)は、1から自ら駐在事務所を立ち上げたのではなく、香港人が創業したという経緯がある。それによって、現地ネットワークをそのまま維持しながら、香港進出を実現することとなった。それにより、回収リスクと現地ネットワークの活用、という一般的に日系企業が香港でビジネスを行う際の課題を、参入時より解決させ有利な立ち上がりを実現させたと言える。


◆キングスオート(香港)としてのこれからの方向性

プロトコーポレーションの100%出資のグループ会社であるキングスオートは、プロトグループのリソースを最大限用していきたいと考えている。実際に、2015年9月から日本から輸出をする香港向け輸出中古車全てに、「Goo鑑定」を付帯するサービスを香港で開始した。Goo鑑定を利用することで、日本から輸出される中古車の情報が開示されることとなる。また、香港ではエンドユーザーの車両検査への需要が高まってきており、社長である倉田氏は「単なる中古車輸入の業者というだけでなく、香港の中古車販売店にとっての有益なサービスを提供していきたい」と考えている。

キングスオートが今までと変わらずに中古車輸出をするだけではビジネスとしての旨味(うまみ)は少ない。むしろ、エンドユーザーが中古車市場に透明性を求めている今だからこそ、プロトグループにしかできないサービスを提供していくことが成功への大きなカギである。

筆者が2015年10月に香港で行った香港の大手自動車流通企業の大昌行に対するインタビューによれば、彼らの中古車ビジネスは拡大傾向にある。他中古車販売店と比べ5%ほど高い小売価格にもかかわらず、収益、販売台数は他中古車販売店と異なり右肩上りだ。事故車を販売しないというのは大前提である。更に最初の3か月は無償で修理し、不満があれば販売価格の80%で買い取りを行うサービスを実施している。

香港の中古車市場は人口も700万人規模が限定で市場が限られている。普通に日本から中古車を輸出するだけでは旨味(うまみ)が少ない。エンドユーザーが中古車市場に透明性を求めている今、それ以外の自動車関連附帯ビジネスが今後のカギになるであろう。
《川崎 大輔》

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