太田国交相、特急「ニアミス」でJR九州に再発防止対策指導

鉄道 行政

太田昭宏国土交通大臣は5月26日、上り特急列車と下り特急列車が同じ線路に進入したJR九州のトラブルについて、同社に対し徹底した原因究明と適切な再発防止対策を行うよう指導したことを明らかにした。

JR九州の発表などによると、このトラブルは5月22日に発生。12時11分頃、長崎行き下り特急『かもめ19号』の運転士が肥前竜王駅(佐賀県白石町)の手前で異音を感じたことから、下り場内信号機付近で列車を非常停止させた。

長崎本線は肥前竜王駅を含む肥前山口~諫早間が単線で、上下列車の行き違いを駅や信号場で行っている。所定ダイヤでは『19号』と上り博多行き特急『かもめ20号』が、肥前竜王駅の長崎方にある肥前鹿島駅で行き違い停車をすることになっていたが、『19号』の非常停止により遅れが生じたことから、JR九州は運転計画を変更。『20号』を肥前竜王駅の1番線まで運転し、同駅で両列車の行き違いを行うことにした。

12時20分頃、『19号』は安全確認が終了して運転を再開し、肥前竜王駅構内に進んだが、『20号』が停車している1番線に進入したことから、『19号』の運転士は列車を非常停止させた。これにより両列車は約93mまで接近した。

原因は、『19号』の運転士が車内モニターに基づき、運行を管理する指令に停止位置を報告したが、車内モニターには誤差があり、指令が停止位置を正しく認識できなかったためとみられている。

太田国交相は閣議後の会見で「負傷者はなかったが、正面衝突したら大変なことになる事案であり、重視している」と述べ、九州運輸局の職員を現地調査に派遣。運輸安全委員会も22日から調査を実施していることを明らかにした。

このため国交相は「JR九州は、運転士から指令への報告の際には、地上の距離標を用いて停止位置を報告することにした。23日に緊急現場長会議を開催し、対策を徹底したという報告だった」と述べ、今後もJR九州を監督・指導していく考えを示した。

《レスポンス編集部》

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