【マツダ ロードスター 主査に訊いた】「想像を超えたクルマ」に涙するファンも…先行“商談”予約のねらいとは

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マツダロードスター新型の開発主査・山本修弘氏
  • マツダロードスター新型の開発主査・山本修弘氏
  • マツダ山本主査とっておきの一枚。新型ロードスター
  • マツダ ロードスター 新型
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6月にいよいよ販売を開始する新型マツダ『ロードスター(ND型)』。3月20日からおこなわれた先行商談予約は、わずか10日間という短期間ながら約2400件の予約を受け付けたという。新型ロードスターの姿がお披露目されたのは昨年、2014年9月だった。そもそも、なぜこのタイミングでの公開となったのか、そしてなぜ先行“商談”予約という、あまり前例のない手法を取ったのか。

そこには、多くのロードスターファンへの想いと、新型ロードスターにかけるマツダの情熱、そして自信があった。新型の開発主査をつとめたマツダ山本修弘氏に、発売直前の意気込み、そして発表以後の反響を訊いた。

◆予約数は初代並みの高水準

----:新型は発売からかなり前倒しでのお披露目となりました。どのようなねらいがあったのでしょうか。

山本:昨年9月4日のワールドプレミアで、ロードスターの25周年を記念したユーザー中心のイベントを行いました。その後、昨年のファンミーティングでNDロードスターをお見せしたのですが、あくまでお見せするだけのイベントだったのです。

このイベントでは、触らせない乗せない…というやり方でファンの方々には申し訳なかったのですが、それでも多くのファンがイベントに来て喜んでいただくことができました。

今年に入ってからは、セカンドステージということで実際に触ったり乗車できるようなイベントを6回行い、300人くらいの方に体験していただきました。発売が6月ですから、支持していただけるファンの方には少しでも目にする機会、少しでも触れ合う機会を増やしたいという想いで様々なイベントを開催してきました。

----:先行“商談”予約とした理由は。

山本:今回、先行商談予約としたのは「とにかく熱い想いを持っているユーザーには早くクルマを届けよう」という気持ちがあったからです。スポーツカーですから、「今すぐクルマが必要」ということで購入される方は殆どいないと思いますが、想いの強いユーザーにはしっかりと応えたい。だからこそ、優先的に商談ができるようにということで先行商談予約という形を取ったのです。

----:今までのロードスターと比べると予約の出足はどのような状況ですか。

山本:NCロードスター(現行型)は3か月で1900台という予約状況だったので、10日間で2400件というのは商談予約とはいえすごいペースだと思います。NAロードスター(初代)と同じような予約状況といえるのではないでしょうか。

◆新型の開発「間違っていなかった」

----:昨年9月のワールドプレミアでは、1150名のファンがお披露目に立ち会いました。ステージ上で自ら新型を紹介されて、その反応はいかがだったでしょうか。

山本:アンベールされた際に沸き起こった歓声を聞いて、このクルマを作ったことは間違っていなかったと感じました。

イベント後に会場の外でお客さまと握手をしていたのですが、多くの方が「かっこいいクルマだ」とおっしゃってくださいました。「写真で見たときにはヘッドライトが細くて何かと思った」という声も聞かれましたが、そのようなお客さまには「ちょっと下から見てみてください」と声を掛けると、「クルマが笑っているようですね」と、喜んでくださったりもしました。

あとは、みなさんクルマの中にデジカメを突っ込んで写真を撮ったり、寝そべって写真を撮られていたのに、決してクルマには触りません。クルマに触りたくて仕方がないはずなのに、誰も触らないんです。日本のロードスターファンは、なんてマナーが良いんだろうと感動しましたよ。

----:その後は様々な地域で、新型とともに主査自ら全国行脚をしたと聞いています。印象に残ったファンとのエピソードなどはありますか?

山本:仙台で行ったイベントでは、ネクタイを締めた方がいらしたんです。バーベキューをやるような場所で開催したのにどうしたものかと思い聞いてみたら、銀行か商社の方だったんですよ。「なんとしても実物を見たくて仕事を抜け出して来た」とおっしゃるんです。嬉しかったですね。

さらにビックリしたのは、とある会場に女子高校生がいたことです。なんで女子高校生がいるのかと思って声を掛けたら「ロードスターのイベントがあるたびに、お父さんが私たちを置き去りにして行くので何をしているのか、一体なにが魅力なのかを一緒に見に来たのです」って言うんですよ。彼女は現場を見て、あれだけのファンの方々がロードスターを楽しんでいるのを見て「信じられない」って言っていました(笑)。でも、親が楽しんでいる姿を堂々と見せられるというのもなかなかいいものでしょう。

----:展示イベントだけでもやはり大きな反響があったようですね。試乗イベントも限定的に開催されたようですが、いよいよ実際に運転出来るとなると、さらにファンも加熱しそうですね。

山本:そうですね。御殿場で開催したイベントでは、非常に短いコースを2周ほど走るというスケジュールだったのですが、お客さまがクルマから降りて涙を流しているんですよ。びっくりしましたね。そして「いいクルマだ、想像を超えている」とおっしゃってくださった。これまで長年クルマづくりをしてきましたが、このような経験はなかったので、まさに開発者冥利に尽きる出来事でしたね。

《聞き手:宮崎壮人 まとめ:諸星陽一》

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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