小型・軽トラック市場、全体需要回復ながら保有台数の減少が継続

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日野 デュトロ
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日本自動車工業会は、2014年度に実施した「小型・軽トラック市場動向調査」結果をまとめた。

調査は、小型・軽トラックユーザーの保有・購入・使用実態などを、時系列的に捉え市場構造の変化を把握するため、アンケートを隔年で実施しているもの。

調査結果によると小型・軽トラック・バンの保有台数は、減少傾向が継続している。全体的には、「経営状況」、「物資輸送量」は前回調査時の2012年に比べ、改善しているものの、運輸業以外では物資輸送効率化策として外部委託化が進展、保有台数の減少傾向が継続している。

運輸業では外部委託化の効果から物資輸送量が増加しており、経営状況も好調。加えて先行投資の動きもあり、保有台数は増加する意向が多い。ただ、運転手不足による稼動率低下が保有台数増加の阻害要因となっている。運転手不足への対策としては、女性・高齢運転手の採用拡大意向が増加している。

需要構造の実態では、小型・軽トラック・バン全体の需要は2008年レベルまで回復したものの、増車ではなく買い替え需要の増加が主因。買替率は前回調査を上回っており、前回まで増加していた「代替を遅らせている」層も減少した。買い替えの動きが活性化しており、買い替え層が需要回復を支えている模様。買い替えについての考え方でも「無理しても早めに買い替え」が増加しており、買い替え早期化の兆しも見られる。

使用実態では、走行距離、行動半径などに大きな変化はないものの、用途として最終消費者への配達・集荷が増加しており、特に軽で顕著。高速道路利用度の高い運輸業では、ETC割引制度の改定後、高速道路の利用頻度が低下している。

今後の購入・保有意向では、次期買い替え意向車は、同車型・同クラス歩留まり意向率が高い傾向に変化はない。ただ、軽バンは乗用車タイプ意向が高い。

事業所での今後1~2年の保有意向を見ると、全体では減少意向の比率は低下したものの、増加意向は増えていない。運輸業では増加意向の比率が高まっており、保有増の兆しが見られる。運輸業以外の事業所では、外部委託化も含めた物流体制の見直しを進めていることから、景気回復が直接保有増に結びつかない。

一方で、運輸業では他業種の外部委託化の進展に伴って、物資輸送量が増加し、経営状態が好転する見通しの事業所が多く、保有増を後押しすると見られる。

トピックス分析では、8割以上が安全性に対して関心を持っており、7割以上が購入時に重視するなど、運輸業では安全性への意識が高く、先進安全技術に対する魅力度も高い。

ハイブリッド車の受容性は高まっているが、他の次世代環境車への購入意向はまだ低い。消費税引き上げの影響したユーザーは16%で、購入を取りやめたのは全体の4%と、需要への影響は軽微にとどまった。

《レスポンス編集部》

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