JR西日本、SL『やまぐち』に旧型客車模した新型客車導入へ

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SL列車『やまぐち』に導入される新しい客車のイメージ。マイテ49形など蒸気機関車の全盛期に運用されていた客車のイメージで新製される。
  • SL列車『やまぐち』に導入される新しい客車のイメージ。マイテ49形など蒸気機関車の全盛期に運用されていた客車のイメージで新製される。
  • マイテ49形を模した1号車の車内イメージ。1列2+1人用の回転リクライニングシートが設けられる。
  • 1号車に設けられる展望室(手前)と展望デッキ(奥)のイメージ。展望デッキは蒸気機関車の音や煙を体感できるよう開放型を採用する。
  • オハ35形を模した2~4号車の車内イメージ。4人用ボックス席が設けられる。
  • 5号車の車内イメージ。二重屋根構造(ダブルルーフ)のオハ31形をモデルにしている。

JR西日本は3月30日、山口線の新山口(山口市)~津和野(島根県津和野町)間で運行されているSL列車『やまぐち』に、新型客車を5両(5両編成1本)投入すると発表した。2017年9月の投入を予定している。

『やまぐち』は国鉄時代の1979年、山口線で運行を開始したSL列車。通常はC57形蒸気機関車(C57 1)が5両の客車をけん引している。当初は青色塗装の12系客車を使用していたが、現在はレトロ調に改造された茶色塗装の12系客車が使われている。JR西日本は「SLやまぐち号の持続的な運転」を図るため、新しい客車を導入するとしている。

新しい客車のコンセプトは「SL全盛期の雰囲気を、お子様連れ等のお客様に快適にお楽しみいただける」ものとし、蒸気機関車の全盛期に運用されていた客車をモチーフに新製する。また、蒸気機関車の音や煙を体感できるよう、開放型の展望デッキや開閉窓を設置する。1編成の定員は約240人を予定している。

新山口方の1号車は、1938年製の1等展望客車・マイテ49形を模したグリーン車で、定員は約20人。2人用と1人用の回転リクライニングシートを中心に、一部はボックスシートを設ける。車両の端部には展望デッキと展望室を設置する。

2~4号車は、1939年から製造が始まった3等客車のオハ35形をモチーフにした普通車。定員は2号車が約60人、3号車が約40人、4号車が約70人になる。いずれも4人用ボックスシートを設置するが、3号車には「SLを体験・学べるフリースペース」と販売カウンターも設ける。

津和野方の5号車は1927年から製造された、3等客車のオハ31形をモデルにした普通車。定員は約50人で、2~4号車と同じ4人用ボックスシートのほか、車椅子対応席を設ける。車両端部には1号車と同様、展望デッキを設ける。

このほか、全ての車両にベビーカー置き場を設置。トイレと洗面所は3号車を除く全ての車両に設置し、このうち5号車のトイレはバリアフリートイレになる。5号車には多目的室も設ける。

新型客車の導入にあわせ、『やまぐち』停車駅のうち新山口・仁保・地福・津和野各駅が改修される予定。新山口駅のSL停車ホームの床面と地福駅の駅舎は「昭和初期レトロ調」に改修する。仁保駅はホームの待合室を移設し、SL列車が急勾配を控えて準備作業を行っているところを見学できるスペースを確保する。

《草町義和》

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