矢野経済研究所は、車載用電池世界市場の調査を実施、その結果を「車載用電池市場 2020年展望 -HEV/PHEV・EV向け-」にまとめた。
調査は、日系車載用電池メーカー、韓国・中国車載用電池メーカー、日系・欧州・米国自動車メーカーなどを対象に2014年6月から12月、同社専門研究員による直接面談取材をベースに、文献調査を併用して行った。なお、同調査における車載用電池とは、xEV(HEV、PHEV、EV)に搭載される二次電池をさす。
調査結果によると、2014年の車載用電池世界市場は金額ベースで前年比13.7%増の4309億5000万円、容量ベースでは前年比24.4%増の7698MWhを見込む。
xEVのうち、これまで最も多く販売されてきたHEVはNi-MHを主に採用していた。今後も、HEVではNi-MHが継続して採用されていくと見られるが、LiBの性能向上や低価格化、電池に対する小型ニーズの高まりにより、HEV市場でもLiBの搭載比率が徐々に拡大していくと予測する。
また今後、これまでxEVに注力していなかった大手自動車メーカーが各国の燃費規制に対応した新モデルを次々に市場投入する見込み。特に、EV走行が可能で大幅な燃費改善効果が得られるPHEVへのニーズが拡大する見込みで、PHEV向け電池の成長率が高まると予測する。
2020年に向け、日系自動車メーカーを中心にHEVの販売攻勢をさらに強めていくこと、米国や欧州自動車メーカーも消費者の環境保護に対する意識の高まりや厳しさを増す燃費規制と排ガス規制に対応するために電池容量の大きいPHEVやEVの新モデルを市場投入しつつある。
また、市場の主導権を握るため、LiBメーカーの新規顧客獲得に向けた取り組みも活発化しており、xEV需要の拡大を見据え、生産能力増強に走るLiBメーカーも目立っている。LiBの低コスト化が加速化し、電池性能も向上することでxEV市場の拡大が後押しされ、車載用電池市場も堅調に拡大し、2020年の車載用電池世界市場は金額ベースで1兆4949億5500万円、容量ベースでは5万9543MWhに成長すると予測する。