国交相、リニア中央新幹線の工事実施計画を認可…2027年部分開業へ

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国交相が今回認可した区間。全区間の約86%がトンネルになる。
  • 国交相が今回認可した区間。全区間の約86%がトンネルになる。
  • JR東海は今回の認可を受け、品川~名古屋間の2027年部分開業を目指して工事に着手する。写真は中央新幹線の営業用車両として開発されたL0系。

国土交通大臣は10月17日、JR東海が申請していた超電導磁気浮上式鉄道(超電導リニア)による中央新幹線の工事実施計画を認可した。これにより、全国新幹線鉄道整備法で規定されている工事前の法的手続きが全て完了。品川(東京都港区)~名古屋(名古屋市中村区)間の2027年部分開業に向けた工事がまもなく始まる。

国交相が今回認可したのは、整備計画の東京都~大阪市間のうち品川~名古屋間の約285.6km。土木構造物に関係する部分が工事実施計画の「その1」として認可された。開業関係設備分は今後「その2」として申請・認可される予定だ。工事予算は今回認可分が4兆158億2000万円で、山梨リニア実験線を転用する部分を除く総工費は5兆5235億5000万円になる。

国交省が発表した「その1」の概要によると、中間駅は神奈川県駅(相模原市緑区)と山梨県駅(甲府市)、長野県駅(飯田市)、岐阜県駅(中津川市)を設置。このうち品川駅と神奈川県駅、名古屋駅を地下、それ以外の駅を地上に建設する。このほか、神奈川県~山梨県間に関東車両基地(相模原市緑区)、岐阜県駅付近に中部総合車両基地(中津川市)を設ける。設計最高速度は505km/hで、品川~名古屋間を最速40分程度で結ぶ。

全体の86%を占める246.6kmがトンネルで、長さ20km以上の長大トンネルも多数設けられる。最も長いトンネルは品川~神奈川県間の第一首都圏トンネルで約36.9km。このうち約35kmは大深度地下を通る。岐阜県~名古屋間に建設される全長約34.2kmの第一中京圏トンネルも約20kmが大深度地下となる。山岳部では山梨県~長野県間の南アルプストンネル(約25.0km)が最も長く、これに長野県~岐阜県間の中央アルプストンネル(約23.3km)が続く。

橋りょうは全体の約4%を占める11.3km。神奈川県~山梨県間の笛吹川・濁川橋りょう(418m)や、山梨県~長野県間の釜無川橋りょう(751m)、早川橋りょう(400m)、天竜川橋りょう(522m)などが設けられる。このほか、高架橋が全体の約8%を占める23.6kmに建設される。カーブの半径は最小8000mを基本とし、最急勾配は40パーミルになる。なお、今回の認可では品川駅と名古屋駅を除く中間駅の駅名と車両基地名、トンネル名、橋りょう名を全て仮称としている。

JR東海は今回の認可を受け、同社の中央新幹線推進本部中央新幹線建設部内に長野・岐阜・愛知各県の用地買収や協議、工事などを統括する名古屋建設部を新設し、工事管理などを行う工事事務所も沿線の各都県に設置する。設置日は10月20日の予定。

同社は今回の認可を受けて「日本の大動脈輸送の二重系化を実現するプロジェクトがいよいよ建設の段階に入っていきますので、関係者のご理解やご協力をいただきながら、安全と環境、地域との連携を重視して、早期実現に向けて取り組んでまいります」とコメントしている。

《レスポンス編集部》

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