「北陸仕様」のフリーゲージトレイン、2016年度中に走行試験開始へ

鉄道 企業動向
鉄道・運輸機構のフリーゲージトレイン第3次試験車両。JR西日本は鉄道・運輸機構の軌間可変技術をベースに北陸地域での運用に適した耐寒・耐雪仕様のフリーゲージトレインを開発する。
  • 鉄道・運輸機構のフリーゲージトレイン第3次試験車両。JR西日本は鉄道・運輸機構の軌間可変技術をベースに北陸地域での運用に適した耐寒・耐雪仕様のフリーゲージトレインを開発する。
  • フリーゲージトレインは台車の車輪幅を変えることで新幹線と在来線の直通運転を可能にする。写真は鉄道・運輸機構第3次試験車の台車。

JR西日本は9月17日、北陸新幹線金沢~敦賀間の開業に向けて開発を進めている「北陸ルート仕様」の軌間可変車両(フリーゲージトレイン)について、10月から模擬台車を使った軌間変換試験を始めると発表した。試験車両の走行試験は2016年度中に始める。

フリーゲージトレインは、車輪の幅を変化させることで2本のレール幅(軌間)が異なる鉄道路線の直通運転を可能にする車両。日本では新幹線(軌間1435mm)と在来線(1067mm)の直通列車用として、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が主体となって開発を進めており、現在は第3次試験車による走行試験が行われている。

北陸新幹線は長野~金沢間が2015年3月14日に開業する予定。金沢~敦賀間も2025年度中の開業を目指して工事が進められている。これに対して敦賀~大阪間は着工のめどがたっておらず、大阪から北陸方面へ向かう場合は敦賀駅で在来線特急から新幹線列車に乗り換えなければならなくなる。

こうしたことからJR西日本は、敦賀開業時点の暫定措置としてフリーゲージトレインの導入を構想。国土交通省や鉄道・運輸機構と連携し、耐寒・耐雪、地震対策、複数の電気方式への対応など、北陸地域での運用に適した「北陸ルート仕様」のフリーゲージトレインの開発を進めている。

JR西日本によると、敦賀駅構内に軌間変換装置(GCE)の実験線を設置し、10月から模擬台車を使った試験を開始。けん引車が模擬台車をけん引して実験線のGCEを通過させ、軌間変換動作の確認などを行う。

また、本年度中に試験車両の設計と製作に着手。GCE実験線で得られた結果を反映させ、2016年度中に北陸新幹線と湖西線、北陸本線で走行試験を始める予定だ。試験車両は6両編成で、電気方式は新幹線の交流2万5000V/60Hzと在来線の直流1500Vに対応する。

《草町義和》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集