【三菱 ミラージュ& ホンダ N-WGN 300km試乗】ハイレベルのパッケージングと走行性能、実燃費はどちらに軍配?…高山正寛

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低い全高と余裕あるエンジンの恩恵でミラージュの高速ドライバビリティはなかなか良好
  • 低い全高と余裕あるエンジンの恩恵でミラージュの高速ドライバビリティはなかなか良好
  • 三菱 ミラージュ
  • 今回のルート。今回のロケ取材ではミラージュにGEOTABを装着し、走行ルートと車速をモニタリングした。
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  • 軽自動車の中でもトップクラスとなる2520mmというロングホイールベースを有している。これによる高速時の安定性はかなり高い。
突然だがあなたは「e燃費」を知っているだろうか? いや、このサイトを観ている読者諸君に聞くのは愚問かもしれない。この「e燃費」は、60万人以上の会員を有し、クルマの燃費やメンテナンス情報を管理し、ユーザー間で共有できる参加型コミュニティだ。クルマ好きなら誰も、もちろん筆者も登録し日頃より愛用させてもらっているのだが、最近気になっている項目がある。


◆90%近いミラージュのカタログ燃費達成率は本物か

それが「カタログ燃費達成率」だ。これは文字通りカタログに記載されている燃費データに対し、ユーザーが実走行して得られた平均燃費の達成率を見るものだ。単純にカタログ数値だけが良くても実走行燃費が悪ければ意味がない。実用燃費とこの数値こそが指標として役立つわけだ。

そこで思わず目を奪われたのが三菱『ミラージュ』である。このクルマ、最近まで登録車における自然吸気エンジンとしてはクラストップとなる27.2km/リットルという数値を誇っていた。カタログ数値はもちろんだが、前述した実用燃費を見て驚いた。何と閲覧時の平均燃費は20.52km/リットル、カタログ燃費達成率は88.45%と軽自動車に迫る高い実用燃費を達成している。この数字を見て、正直言えば意外…(失礼)な部分はあった。そこで今回、特別なデバイス(過給器や電気系)を持たず高いカタログ燃費を持つホンダ『N-WGN』(29.2km/リットル)とそのミラージュからクラス中でカタログ燃費トップの座を奪取したトヨタ『パッソ』(27.6km/リットル)の3台を一般道から高速道まで300km以上走り、その実力を探ってみた。


◆軽自動車離れした実力の持ち主…N-WGN

まずはN-WGNとの比較である。まずは東京をスタートして関越自動車道をメインに高速走行を行った。実は意外と言っては失礼だが、両車とも思った以上の高速安定性を持っている。まずN-WGNだが元々軽自動車の中でもトップクラスとなる2520mmというロングホイールベースを有している。これによる高速時のピッチングはよく抑えられており、軽自動車カテゴリーに限れば、安定性はかなり高い部類に入る。

さらに驚いたのが制限速度上限の100km/hに近づいた際、突然と言ってはオーバーだが、スタビリティが向上したことだ。路面状態が変わってもこの安定感は変わらない。空力やタイヤを含めたセッティングの影響だろうが、高速道を一定速度で走るのであればノンターボであることにデメリットは感じないほどだ。


◆世界戦略車ゆえの優れた高速安定性…ミラージュ

一方のミラージュにもちょっとした驚きがあった。正直言えば、サスペンションは前:マクファーソンストラット/後:トーションビームとオーソドックスだし、タイヤも165/65R14と特別なパフォーマンスを生み出す、というよりは燃費重視のものが選ばれている。ところが、N-WGNより低い速度域から車両がピシっと安定する。

よくよく思い起こせばミラージュはタイのMMT(Mitsubishi Motors Thailand)で生産される世界戦略車。日本では比較的シティユースを想定しているが、速度域の高い欧州などにも導入されている。そんなミラージュのCd値はなんと0.27。まるで欧州のコンパクトカーのような優れた空力性能を持っていたのだ。外観からもルーフ後端からリアスポイラーにかけての空気を効率的に流す独特な形状などからもある程度理解できたが、こう言っては失礼だが、このクラスでここまでしっかりとした高速安定性があるとは思わなかった。先頃発表された一部改良では、横滑り防止装置の「アクティブスタビリティコントロール(ASC)」や「ヒルスタートアシスト」「ブレーキアシスト」を全車に標準装着し、安全性をさらに高めている。

またN-WGNがどうしても全高が高いボディゆえにレーンチェンジ時に少しボディが揺れるのに対し、1500mm以下のミラージュはこの場合でも安定感は高い。乗り心地はタイヤの影響もあるが両車ともソフトタッチ。もう少し路面からの揺れを早く収めてくれると印象はさらに良くなるはずだ。


◆軽量・低重心ボディがもたらすキビキビ感

ワインディングも含めた一般道にステージを移すとこれもまた気付かされる部分が多い。まずN-WGNだがやや高めのヒップポイントからの視界は良好、最小回転半径は4.5mとロングホイールベースの割には取り回し性も十分、さすがにNシリーズはライバルをよく研究している。

一方のミラージュだが、実は今回の試乗で一番驚いたのが一般道での走りだ。高速ステージでも触れたがこのクルマ、ハードウエアとしてはコンベンショナルなものを搭載、パワーユニットも高効率とはいえ、1リットルの直3DOHCに同社では歴史のあるINVECS-IIIのCVTだ。しかし実はかなり軽快に走ってくれる。その理由は車両重量にあった。その重さ、なんと870kg。N-WGNも820kgと軽量だが、高剛性を維持しながら軽量化することで軽自動車並の車重を達成しているのだ。また取り回し性能に関しても最小回転半径は4.4mとこちらも軽並み、N-WGNより数値として小さいことにも驚かされる。

最後に普段使いなどでも気になる装備やシートアレンジなどについて比較してみた。この部分ではN-WGNの優位性が光る。元々軽自動車は限られた寸法の中で乗員も含め、どれだけユーティリティを確保するかが、商品差別化のポイントである。WGN(ワゴン)の名を示す通り、前後に200mmスライドするリアシートやサブトランクなど創意工夫をこらし、驚くほどの収納力を持っているのだ。

一方ミラージュも見た目以上に収納は多く不満はないのだが、6:4の分割可倒のリアシートを倒した際に段差が生じるなど、洗練度ではもうひと声工夫が欲しい。


◆満タン法での試乗燃費はミラージュに軍配

最後に気になる燃費だが、今回特にワインディングで(かなり)元気に走ったこと、炎天下での試乗だったことでエアコンはフル稼働など条件は正直悪かった。それでも満タン法でミラージュは21.68km/リットル、N-WGNは19.39km/リットルと高水準だった。撮影のためにアイドリング状態なども多く、普段使いであればまだ燃費は伸びそう。さらにミラージュの場合、車両搭載の燃費計の数値にはなるが、高速走行時は軽く23km/リットルを超える数値をマークしていることは補足しておく。

軽自動車の利点と言えば維持費の安さと燃費の良さだが、N-WGNが登録車に限りなく近づいているクルマなのに対し、ミラージュは燃費、取り回し性能など良い意味で軽自動車に近い登録車、何よりもミラージュには5名乗車が可能なひと回り大きなボディがもたらす余裕がある。実は両カテゴリーの“いいとこ取り”をした狙い目車種とも言えるのである。
《高山 正寛》

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