パッケージングの★が2って怒られそうだな。だっておデブなんだもの。昔話を懐かしむのは好きじゃないけれど、でもやっぱり『スカイライン』はアメリカおじさんの好みに合わせてグラマラスに全身整形した美女みたいだ。
ただ、今回のデザインは悪くない。目つきの精悍さとか、LEDの使い方、絵の具をたっぷりつけて流したようなボディの面のきれいさとか。後姿に迫力とアクの強さがもう少しあればいいのにとは思うけれど。
今回の試乗車は、2リットルのターボエンジン搭載車である。少し前に出たHVと比べると、驚くほど性格が違う。HVシステムを積んだぶん、どっしりと重い走りのHVに対し、こちらは軽快でぐいぐい攻撃的な走り。音も、HVはモーターアシストの静かさを全面に押し出し、状況によってはエンジン音はほとんど聞こえず、風切り音とロードノイズ(これが結構うるさい)ばかり耳につくのに対し、ターボはわざわざエキゾーストノートをスピーカーから流して「走っているぜ感」を演出しちゃう。走りのスカイラインを期待する身としては、この「アクセル踏んでいるぜ」な気分が満喫できるこの感覚は悪くない。
走りのスカイラインを堪能するには、すでにHVに搭載され、ターボには秋からオプション設定だというダイレクト・アダプティブ・ステアリングを選びたい。路面の凹凸を感じさせないこのシステム、走りのインフォメーションはハンドルからだろうという人にとっては、不必要どころかいらんお世話なシロモノだろうが、私のような小心者には、神々しさすら感じてしまう。だって、ハンドルががたがたすると、ああ、もうこれ以上、速度をあげたらヤバイかもと右足がだらしなく戦意喪失してしまうのだが、このダイレクトうんぬんはそれがないので、アクセルをしっかり踏みながらコーナーを立ち上がることができるのだ。踏んでもボディ&サスペンションがしっかり支えてくれるので、なんの不安もないし。そんなバカなと思わずに、購入検討者のみなさまにおかれましては、ぜひ体験してから選んでいただきたい。
■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。