6月5日に発売された日産『スカイライン 200GT-t』。2010年に日産ルノーとダイムラーが業務提携により生まれた第1弾となる車両で、ダイムラー製の2リットルターボエンジンを搭載するが、このエンジンはメルセデスベンツの『E250』に搭載されているエンジンと基本的に同一である。
このE250に搭載されたエンジンは、世界初となる成層燃焼リーンバーン(希薄燃焼)にターボ、排ガス再循環装置の組み合わせを実現していることで話題となったが、スカイライン200GT-tにはリーンバーン技術が搭載されていない。
リーンバーンとは理論空燃比よりも薄い混合比で燃焼させる技術。ガソリンエンジンでは14.7対1の空燃比が理想とされているが、より多くの空気を送り込むことにより熱損失とポンピングロス(吸入抵抗)を減らし、燃費を向上させるもので、低回転域、低速域での燃費が良いため市街地などの走行で威力を発揮する。
E250に搭載されるエンジンは、エンジン負荷をモニタリングすることで、成層燃焼と理論空燃比による均質燃焼(ストイキオメトリ燃焼)、成層燃焼と均質燃焼を組み合わせた均質成層燃焼を自動制御。常に最適な燃焼方法を選択することで低燃費で高い環境性能を実現している。
良いことずくめのリーンバーンだが、200GT-tにはなぜリーンバーンが搭載されなかったのだろうか。日産自動車 マーケティングダイレクターオフィス マーケティングダイレクターの栗原正信氏によると「スカイラインのDNAである“走り”の実現のために、より“走り”に適したストイキオメトリ燃焼を採用した」とその理由を説明する。
確かに燃費性能に関してリーンバーンのメリットは大きいが、理論空燃比より薄い燃料で燃焼させる分、点火しづらく、シリンダー内での燃焼速度が遅いためパワーがあまり出せないなどのデメリットも存在する。
栗原氏は「スカイラインとしての“走り”を楽しんでいただくために、日産でエンジン、ミッションには細かいチューニングをした上で搭載している」と述べる。