日野自動車は6月14日、4月から大型トラック『プロフィア』および大型観光バス『セレガ』に標準搭載を始めた安全システムを、同社羽村工場内(東京都羽村市)で報道陣に公開した。このうち車線逸脱警報装置は従来1mだった逸脱量を0.3mにまで精度を向上している。
日野自動車技術研究所車両研究室の秋山興平室長は「従来の機能はカメラで車線を画像処理によって認識し、車線を越えた場合にドライバーに対して警報を鳴らす仕組み。今回開発したものはカメラを高解像度化することで車線の認識精度を上げている。これによって従来1m以内だった逸脱量を0.3m以内にまで縮めた」と解説する。
ただこのシステムは車線を逸脱した場合、ドライバーに警報するだけで、乗用車で実用化されている自動操舵でもとの車線に戻す機能はついていない。この点について秋山室長は「大きく2つ技術的な課題がある」と明かす。
そのひとつは「車線を認識するカメラの性能。車線逸脱警報として使用するのであればカメラで認識できる距離が8~10mで良いが、これをステアリング制御に使おうとした時にカメラでより遠くを見る必要性がある。そのために高解像度のカメラの開発が必要になってくるという認識精度に関わる部分」。
2つめは「ステアリングを自動的に動かすアクチュエーター。乗用車ではすでにモーターでアシストするシステムが実用化されているが、大型トラック、バスとなると軸重が大きいので、それに応じた大型のアクチュエーターを開発しなければならない」というものだ。
だが秋山室長は「コストを含めたトータルでみた時にどういったシステムが良いのかというのは今まさに検討している状況」と述べ、自動操舵機能搭載に向けた準備を進めていることを明らかにした。