リヒテンシュタインのナノフローセル(nanoFLOWCELL)社は3月4日、スイスで開幕したジュネーブモーターショー14において、コンセプトカーの『クヮントeスポーツリムジン』を初公開した。
ナノフローセル社は、リヒテンシュタインに本拠を置く新興企業。クヮントeスポーツリムジンは、同社のヌンツィオ・ラ・ベキア氏が中心になって、開発が進められた特別な研究開発車両だ。その開発には、ドイツの自動車部品大手、ボッシュも参画している。
クヮントeスポーツリムジンは、全長5250mmを超える大型の4シータースポーツカー。ボディはカーボンモノコック構造。4シーターでありながら、ガルウィング方式のドアが目を見張る。
パワートレインは、会社名にちなんで、「ナノフローセル」と命名。ボッシュの子会社、ボッシュエンジニアリングと共同開発した全く新しいエネルギー貯蔵システムを採用した。
ナノフローセルとは、電気化学蓄電池と燃料電池の特徴をひとつにまとめたもの。2個のタンクに液体電解質を内蔵し、電池の中で循環させる。ナノフローセル社によると、システム中心部では皮膜が2つの電解液を隔てているが、電荷は透過できるため、ドライブトレインの電力を発生できるという。
また、現在主流のリチウムイオンに比べ、重量あたり5倍の性能を発揮できるのも特徴。ヌンツィオ・ラ・ベキア氏は、「ナノフローセルの優位性は、従来のエネルギー蓄積システムに比べて、高電荷密度と高性能密度、軽量という点にある。さらに、有害物質や可動部品がなく、非常に効率的」とコメントしている。